火事の原因


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火災発生件数

コンセントが危ない


総務省消防庁によると、2017年における全火災件数は39373件あり、約1日に107件、1時間に4軒半の火災が発生した計算になるのです。
2013年の全国の火災による損害は約907億円にのぼります。
2017年度の火災の原因です。


原因
1たばこ
2放火
3こんろ
4たき火
5放火の疑い
6火入れ
7電灯、電話等の配線
8ストーブ
9配線器具
10電気機器


IT社会になって、コンセントからの配線は複雑を極めています。そのコンセントは概ね机の裏側に多く、ホコリだまりとなっています。
図のようにコンセントとプラグの間のスキマにホコリがたまっている事がよく見かけますが、ここが問題なのです。
そのホコリが空気中の水分を吸収しプラグの両刃間に微電流が流れることになります。そのうちプラグ表面に炭化導電路(トラック)が出来、発熱し発火してしまいます。これがトラッキング現象です。



2011年5月、名古屋市瑞穂区で住宅火災があり、7人が死傷、内5人が死亡しました。
愛知県警瑞穂署によると、火元とみられる2階南東の8畳間には、パソコン3台が机の上にあり、机の下には延長コードなどが折り重なり、ひとかたまりになっていて、その下の床に焦げ跡があったため、県警は、コードが過熱して発火したとみています。
製品評価技術基盤機構(NITE)によると、通電しているコードは、電線の電気抵抗で熱を持ちます。束ねて使うと、この熱が逃げにくくなって高温になり、被覆が溶けてショートすることがあるといいます。
さらに、束ねることでコードがねじれたり曲がっていたりすると、その部分の被覆が弱くなるうえ、内部で電線が切れかかり、ショートしやすくなるのです。
県警は、これらのコードが過熱し、ショートして出た火種が、たまったほこりなどに引火して徐々に燃え広がったとみています。


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低温着火レンズ状が危ない
ある飲食店の厨房において、下図のようなコンロ台で煮物をしていた時、ステンレス板の下にある木部から出火しました。この場合は、コンロ台と壁との距離が近くにあったため、過熱伝導により、設置して2週間後にも関わらず、火事を起こしました。このような例はよくあるのです。

しかし、一般の住宅においても火事になった例はあります。いつもコンロの火を受けて、壁下地の木材は含有水分量が少なくなります。そのうちに乾燥が進み木材が炭化し、熱が加わると着火するようになるのです。
通常、木材は400~500℃で燃えますが、上記の状況では、150~200℃で着火します。これを「低温着火」と言います。見た目では内部の木材の状況がわかりませんので、油断は出来ません。
2017年8月の築地火災の原因と言われている「熱伝導加熱」が、これに当たります。
判断としては、コンロ台に火をつけていないときに、壁をさわって熱いようであれば危険な状態であると判断できます。
この他には、仏壇のローソクの熱が天井裏に伝わり出火した例、あるいは、ダウンライトの熱で出火した例などもあります。
築7年を経過した地域コミュニティセンターの調理室で、2013年11月に火災が発生。
火災の原因は「伝導過熱」。こんろや鍋から放射した熱が壁の木材や石こうボードなどに蓄えられ、徐々にそれらを炭化させて通常よりも低い温度で木材が発火する現象です。ステンレス板の裏には、石こうボードが2枚重ねで張られていたにもかかわらず、7年で発火に至るほど炭化が進んでしまったのです。
凹凸製の鏡、ペットボトル、老眼鏡、ステンレス製のボウル、水槽などレンズ状のものが発火源となる火事があります。その事例を紹介します。

1- 木造2階建のベランダに干してあった風呂敷がステンレス製のボウルに落ち、その内側で反射した太陽光が風呂敷上で焦点を結んで発火し、隣家のトイを燃やす。
2- 鉄骨3階建マンションの部屋に置いてあった老眼鏡が原因となり、新聞紙から出火し約60㎡焼く。

東京消防庁は(1)と同様の実験を行なったところ、わずか3秒で風呂敷から煙が上がり、約5分後に出火しました。
レンズ状のものが原因となる火災は、日差しの強さではなく、太陽の高度が問題です。太陽の高度が低く、部屋の中まで光が届く冬場の時期が注意を要するのです。
近年の住宅は、大きい窓やステンレスなどの金属製家具などが多いため、窓の位置をチェックされたし。

ここで、余談ですが、イギリスのロンドン中心部で、37階建てオフィスビルの「フライスクレーパー(揚げ物を調理できる超高層)」があります。8月下旬ごろ、晴れた日の正午を挟む2時間ほど、ビルの南側にある街区の一角が異様に明るくなるのです。
英紙「タイムズ」は周辺の気温が45℃を超えたと伝えました。付近に止めてあった数台の車の外板が溶けてゆがむなどの被害も生じました。地元テレビ局のリポーターは、太陽光で熱したフライパンで目玉焼きをつくって見せたのです。
これは、凹面鏡のようになったガラスカーテンウオールの外壁に反射した太陽光が集まるのが原因です。外装には、表面を金属膜でコーティングして断熱性を高めた複層ガラスを使用。
因みに設計は東京都の「東京国際フォーラム」の設計を手掛けた建築事務所です。
08:30

こたつによる火災太陽光パネルの火事例
こたつによる火災も見逃せない問題です。2016年1月~12月までの消防庁調べによると、44件(うち死者7人)あります。
原因として、主婦によくありがちなのが、洗濯物を早く乾かそうとしてこたつの中に入れてしまうこと。ところが、その洗濯物がこたつのヒーター部分に接触していると火事になります。また、こたつの電源コードが椅子や机、こたつの足などに踏まれていると、電源コードに負荷がかかり発火の恐れがあり、コードにねじれがあるとコードが断線(破損)して発火する可能性があります。そして、掛け布団をこたつの中に押し込んだり、座いすをこたつの中に入れたりしたまま使用すると、掛け布団がヒーターに接触して火災の原因となります。
ヒーターの表面にホコリがたまっていると、ホコリがヒーターの熱で発火して燃える可能性があります。製品の問題としては、サーモスタット(温度調整機能)が備わっており、これにより温度が一定値を超えないように調整されています。この機能が壊れてしまうと、自動調整が行われず、温度が上がり続けて火災の原因となります。
2016年4月川崎市高津区に建つ2階建ての戸建て住宅で火災が発生。人的被害はなかったものの、太陽電池パネルや野地板など約6.3m2が焼けました。
この住宅で採用していたのは、パネルが屋根材を兼ねるシャープ製の屋根一体型の製品です。住宅メーカー専用の製品で、2006年4月に設置。
2014年8月19日、相模原市内の木造2階建て住宅(築約1年)の屋根付近から出火。小屋裏32m2を半焼した屋根一体型のPVシステムに関連した火災です。
火災発生の約1カ月前から漏電遮断器が落ちるトラブルが発生し、漏電箇所の調査を進めている最中での災禍でした。住宅の屋根に架台を設ける屋根置き型のPVシステムでも火災事故は生じています。新潟県内では、システムの設置工事の際、もともと屋根に設置してあった雪止め金具を撤去せず、その上にPVシステムを設置したために火災が発生した例があります。
雪止め金具がパネルの裏側を傷つけ、太陽電池セルの裏側に接触。導電・短絡し、発火に至ったとみられます。
施工者は金具と太陽電池パネル裏面に、ある程度の距離があったので、干渉しないと踏んだのかもしれませんが、雪が積もるなどして圧力が加わった際にパネルがしなり、接触した可能性があります。

火事の原因ー2 も参照に