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熊本市営団地の例 | バルコニーの足がかり | |||
1996年熊本県の熊本市営新地団地で子供(当時1歳)がバルコニーでの転落死亡事故がありました。 事故が起きたバルコニーは、空調機の室外機などを置くサービスバルコニーとしての機能をもっていたと考えられます。
上図のように、部屋とバルコニーの間にはサッシがあり、窓手摺もついていました。
しかし、当時は窓脇にベッドがあったために、子供は窓手摺をぬけて、出てしまったようです。 又、バルコニーの手摺は下の方が手摺子の間隔が大きくなっているデザインになっています。 (ただし現在はネットが張られています) その後、幼児の両親は、団地を設置・管理する熊本市と設計・監理した設計事務所を相手取り、損害賠償を求める訴訟を起こしました。 結果、裁判所は、市と設計者に安全配慮に欠けるところはなかったとして賠償責任を認めなかったのです。国の公営住宅建設基準では、バルコニーの手摺に上図のような横桟形状は避けるようになっています。設計者はサービスバルコニーとの認識であり、通常は使われないと考えたのでしょう。それは、建物を建てる市側でもチェックされたと思います。 | 2008年7月には2歳の男の子がバルコニーから転落死するという事故がありました。母親は子供を寝かしつけた後に外出していました。又そのバルコニーには、椅子が置いてあった事もわかっています。興味本位で椅子に登ったと考えられます。 また2009年8日、兵庫県西宮市、武庫川団地の16階のバルコニーから子ども(3才)の転落事故がありました。その後搬送先の病院で死亡が確認されました。警察はバルコニーに空調器の室外機を確認し、そこを足がかりとし、手摺を乗り越えて落ちたとみています。
建築基準法では、上図のようにバルコニー(廊下なども同様)手摺の高さは1m10cm以上とされています。
ただ、この寸法さえあれば安全であるとは言っていません。最低限としての値です。手摺の下に箱などの足がかりがあれば意味のないものとなってしまいます。 その場合の転落事故は今までに何度か耳にしています。 建物は安全であると思い込むのは問題があります。住む人の注意、管理が求められています。 | |||
08:30 |
階段転落事故 | 窓転落の裁判事例 | |||
2000年、大阪府堺市の府営住宅の1階から2階への階段で手すりが外れて、78歳の女性が首の骨を一部欠損し右大腿骨を骨折しました。 大阪府の住宅管理センターは,「転落事故の原因は手すりを取り付ける金物の溶接不良にあった」として,建築金物メーカーを相手取り,損害賠償を求める訴訟を起こしました。 その後大阪府住宅管理センター(現大阪府住宅供給公社)は、メーカーの杉田エースに対して製品の回収や交換に要した費用など3億2900万円の損賠賠償を求めて提訴。さらに2003年9月、負傷者に対する治療費などの損害賠償金として1800万円を追加で請求。 2008年12月 大阪地方裁判所は杉田エースに対し3億500万円の支払いを命じる判決を下しましたが、同社は判決を不服として、2009年1月控訴。結局09年6月和解が成立し、和解金2億5000万円を支払う事になりました。 | 2002年11月、福岡県で2階の腰窓から50歳の女性が転落し、死亡しました。洗濯物を干すには物干し竿まで身を乗り出す必要がありましたが、窓に手すりはなかったのです。窓の腰壁の高さが床から約73cmの高さでした。 福岡高等裁判所は、窓から日常的に身を乗り出す入居者のためには手すりが必要だったとして、賃貸住宅の家主に、約350万円の損害賠償を命じる判決を下しました。 窓に手すりがないのは瑕疵であり、家主が窓に手すりを設置しなかったのは安全配慮義務違反だと訴える入居者の遺族の主張を認めました。 | |||
08:30 |
窓際のベッドが危ない | バルコニーの台替りが危ない | |||
2007年6月宇都宮市の山王市営住宅3階の腰窓から、1歳 男児が転落。緑地に着地し、けがはありませんでした。ベッドを踏み台にし、手すりをくぐり抜けるか乗り越えるかして転落したのです。過去にも2件の転落事故がありましたが、いずれも同じような窓でした。窓の内側には床から90cmと1.1mの高さに手すりを水平に2本設置していたにもかかわらず事故は起きました。問題はベッドでした。この後、山王市営住宅にあるすべての腰窓に、縦桟付きの高さ90cmの窓用の手すりを設置する事になりました。 | 2010年6月、札幌市清田区の11階建てマンションで、11階のバルコニーから3歳の女の子が約30メートル下の地上に転落し死亡しました。札幌豊平署の発表によると、当時、家には女の子1人でした。 バルコニーにはタイヤが積まれていたため、女の子はタイヤによじ登り、手摺から体を乗り出した可能性があるとみ ています。 2017年3月には、埼玉県川口市の団地で男児3歳が8階のバルコニーから転落し、病院で亡くなりました。両親がいないすきに、窓を開けバルコニーに置いてあった箱の上に乗った模様です。 2019年6月、大阪府吹田市垂水町2丁目のマンションで転落事故がありました。大阪府警によると、9階に住む男児(3)がバルコニーから転落して、地面で倒れていました。頭や胸を強く打ったとみられ搬送先の病院でまもなく死亡が確認されました。男児は発熱のため幼稚園を休んでおり、当時は家族はいなく部屋で1人でした。バルコニーに高さ約40センチ程の踏み台が置いてあり、1m25cmの手摺を乗り越えたとみられています。 | |||
08:30 |
子供を一人にする怖さ | 欠陥施工による事故 | ||||
2009年10月には名古屋市西区のマンション8階のバルコニーから母親が目を離したすきに、5歳の男児が手すりを乗り越えて約20メートル下の地面に転落しました。しかし左半身打撲の軽傷と、奇跡的に助かったのです。男児は一旦、駐輪場の屋根に落ちその後、地面に落ちました。屋根がクッションとなったのでしょう。 2010年1月、東京都国分寺市泉町の共同住宅で、8階に住む女の子(4)がベランダにいました。女の子は左あごに擦り傷を負って病院に運ばれましたが、軽傷でした。母親はしつけとして女の子をベランダに出したところ、女の子はベランダからさくを乗り越えて誤って転落した可能性が高いとみられます。 真下は地面で植木もあったといいます。 2010年4月、広島市中区の13階建てマンションから男児(3)が転落し、死亡しました。広島中央署によると、事故当時、母親は、外出中で、室内にいたのは男児だけでした。家を出る時には子供は寝ていたようですが、一人で部屋からベランダに出て、高さ約1メートルの手すりを乗り越え、誤って転落したとみています。 2018年10月、川崎市のマンションの9階から2歳児が転落。幸いに骨折で助かりましたが、子供を一人にして出かけた際、子供が自分で窓を開けて転落したのです。また、2018年11月には、東京江東区のマンション7階から4歳児が転落死しました。子供一人残して親が出かけ、子供は外廊下に台を持ち出し下を見ていたそうです。 | 2007年4月、岐阜県美濃加茂市内のアパートの2階でバルコニーの手すりが外れたために入居者が転落して死傷した事件がありました。結果11年1月、加茂警察署はアパートを設計した二級建築士の男性を業務上過失致死傷の疑いで書類送検しました。 アパートは鉄骨造2階建て、住戸数6戸。岐阜県可児市の建設会社が設計・施工して、1986年に完成。男性は当時この会社の社員として設計と工事監理を担当。建設会社は96年に経営破綻の末、廃業。 事故があったバルコニーのアルミ製手すりは高さ約1.2m、幅約2.5mmで、建築基準法には適合していました。 しかし、バルコニー用ではなく、より強度の低い窓用の製品であり、設置にも不備があり、ブラケットとの接合が不十分でした。 男性は事故当時、アパートの設計と工事監理を担当し、手すりの仕様決定に関わったていました。同署は男性が「アパートを施工するにあたり事故防止に配慮すべき業務上の注意義務を怠った」と判断して送検し、逮捕はしませんでした。 |
隙間が危ない | 東京消防庁の転落事故報告 | ||||
2017年9月東京都江戸川区東葛西のマンションで1歳の女児が転落し死亡する事故が起きました。 警視庁葛西署によると、母親が外出中、女児はマンション6階の自宅ベランダで2才の兄と遊んでいた際、児がベランダから誤って転落したとみています。
消防が駆け付けたところ、敷地内のコンクリートに女児心肺停止状態で倒れており、搬送先の病院で死亡が確認されました。同署によると、柵の下にある約20センチの隙間から落ちたとみられます。女児は両親と兄の4人家族で、当時自宅にいた父親は「目を離した隙に落ちた」と説明しています。
報道から推測するに、ベランダとは、階下の屋上とみられ、隙間とは、屋上の立ち上がりがあり、その天端と手摺の間に20CMの隙間があるように思います。マンションの設計と管理不足が原因だとの推測ができますが、真相はわかりません。 | 2016年8月、マンションの7階で、母親がトイレから部屋に戻ったところ、ベッド脇の窓が空いており、外から部屋の手摺をつかまっている2才の息子を発見。 その瞬間地面に転落。幸いにも病院に入院となりました。 2016年10月、自宅3階のバルコニーのエアコン室外機の上で、5歳の女児が遊んでいたところ、誤って手すりを乗り越えて地面に墜落。しかしケガで済みました。 2017年5月、自宅の4階の部屋で1歳の息子が椅子に乗って出窓から外を眺めていたが、直後に空いていた網戸を突き破り地上に転落、重症となったのです。 以上のように、東京消防庁管内では、2013年から2017年までの5年間に、5歳以下の子供105人が、住宅等の窓やバルコニーやベランダからの墜落により、病院に救急搬送されています。 |