陥没事故の恐怖


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大阪北部地震・水道管破裂博多駅前大通り大陥没
2018年6月の最大震度6弱を観測した大阪府北部地震で、大阪府高槻市、箕面市など数か所で道路は陥没し、そこから茶色く濁った水が「ゴー」という音を立て勢いよく噴き出しました。
道路は川のようになりあふれた水で周囲は池のようになり、辺り一面は水浸しでした。そしてその地域一帯が一時断水になりました。高槻市で約8万6000戸、箕面市と吹田市で約8600戸に及びました。
高槻市内で破裂した直径90センチの水道管は浄水場から市内に水を引く主要な管で、設置から55年が経過。法令が定める耐用年数40年を大きく超える老朽水道管でした。大阪府内で他に破損した吹田市内の水道管(直径80センチ)も53年が過ぎていました。
厚生労働省などによると設置40年超の水道管の割合は、大阪府が2016年度末で29.3%と全国平均の14.8%を大幅に上回り、都道府県で最多。東京都は13.5%で大阪は突出しています。
大阪市を除く42市町村に水を供給する、大阪広域水道企業団によると、送水管の二重化などを含む更新を進めますが、耐用年数を超える管は年々増加。
節水技術の発達で水道料金による収入が減少する中、財政負担の重さが更新の足かせとなっています。東日本大震災や熊本地震でも長期間の断水が発生しているのです。
2016年11月、JR博多駅前の大通りで起きました。
道路が長さ30メートル、幅27メートル、深さ15メートルにわたって陥没。死者は幸いにも出なかったものの、水道や電気などのライフラインが断絶しました。
地下では市営地下鉄七隈線延伸工事の真っ最中でした。原因究明は行われたものの、結果、原因はあやふやのままに終わりました。
トンネル上部の地層の問題なのか、事前のボーリング調査の見誤りか。
国土交通省の第三者委員会は地下水の圧力への安全性が不十分だったとする調査報告書を取りまとめました。
実は2012年から2016年にわたり七隈線延伸工事に関して専門家と福岡市が会議を行っていたのです。崩落事故の要因の一つとされている「ナトム工法」という手法についてのもので、固い地盤には適しているが、地下水には弱いというリスクがあるとの事でした。専門委員からは、「トンネル天井部の地層は見た限り、かなりボロボロなので水位が下がり沈下が起こっている可能性は否定できない。掘削は注意深く行わないと危ないのではないか」との意見がでていました。
ただ、福岡市交通局は「長期的な沈下はないように見え現場も沈下による影響は見受けられないので、安全確認をして施工していきたい」とのべていたのです。
国土交通省によると、全国の道路陥没は下水施設を原因とするものだけで年3300カ所前後あり、担当者は「他の原因を含めると倍以上になる」と。



日本全国で陥没事故沖縄琉海ビル陥没事故
2017年9月、福岡県大牟田市今山の県道、大牟田-高田線で、直径40センチ、深さ約3メートルの大きさで道路が陥没しているのを近所の人が発見し大牟田署に110番通報がありました。けが人はなかったようです。福岡県南筑後県土整備事務所によると、道路の地下には水路が横切るように流れており、この水路が通る鉄筋コンクリート製の管が破損し、流れ出た水が地中の土砂を削り取り、陥没が発生したようです。
2017年11月、大阪堺市中区の市立平井中学校で授業中に運動場が陥没し、女子生徒2人が軽傷を負いました。市教委によると、運動場で授業中、生徒が地面を踏み抜くように首まで穴にはまり、さらに助けようとしたほかの生徒の足元も崩れて落ち、女性教師も穴に滑り落ちたのです。生徒2人は足に擦り傷や打撲を負いました。穴は縦2.4m、横0.8m、深さ最大5.4m。中には水がたまっており、地表から約1mに排水管があり、生徒はこれに引っかかるなどして底まで落ちませんでした。平井中は1985年開校で、以前は田んぼでした。陥没した穴の側面に木片があり、もともと井戸などがあった可能性があるといいます。
2018年7月、東京都北区西ヶ原の歩道で「道路に水があふれている」と複数の110番通報がありました。水道管から水が漏れ出し、道路が陥没。住宅の間の道路一面に、濁った水があふれ、付近の住宅や店では床下浸水した他、約30戸で断水するなど被害が出ました。東京都水道局によると水道管に縦20センチ、横30センチくらいの穴が開いていたということで歩道の下の水道管から水が漏れ出し、周りの土が流された影響で道路が陥没したもよう。劣化によるものとみています。
1973年4月、沖縄県那覇市前島2丁目で竹中工務店と大城組の共同企業体が施工する建設が始まった琉海ビル
11月、道路との境に土留として鋼矢板を打ち込んでいましたが、その土留めが突然崩れ落ちたのです。
結果、国道58号が約100メートルに渡って深さ8mの陥没、私道に駐車中の乗用車9台が巻き添えになった他、周辺のアパートや民家など7棟も陥没の中に飲み込まれました。
住民は避難していたため奇跡的にけが人はいませんでした。
原因は、現場が埋立地のため地盤が軟弱であったこと、沖縄国際海洋博覧会に間に合わせるため突貫工事が行われていたことが挙げられていますが、土留めが十分であったかどうかは、今では判断出来ません。
この事故により、同ビルの建設は中止となったのです。



怪しい造成工事地下鉄工事の危うさ
三重県津市の半田地区において、A社宅地の造成を行い、B社はその宅地前の道路を造成。両者共、津市に開発申請し許可を得ていました。
道路は市が完了検査をして完成し、津市が管理者になりました。その後A社から宅地を購入した土地所有者は、2005年2月に自宅を建てました。
ところが2006年7月に前面道路と住宅の一部が半径15m、深さ3mにわたって陥没し家が傾き、避難を余儀なくされたのです。
住宅の所有者は、宅地開発したA社および、開発を許可した津市に対して、損害賠償の訴訟を起こしたのです。
2014年3月、津地方裁判所は判決を下しました。この地域は明治以来磨き砂が採掘されていた事を市もA社も把握していたにもかかわらず原告が宅地を購入する際に一言も告げていなかった事。
そして道路に関しては、B社との協議で、陥没事故の予見の可能性があり、未然に予防措置を取らなかった事に対する管理責任の不備を認めました。よって、A社に644万円、津市には4642万円の支払いを命じたのです。
2020年6月、神奈川県横浜市港北区大豆戸町の環状2号で、道路が陥没し、横浜市港北土木事務所は、現場周辺では新横浜から鶴見方面に向かう道路を交通規制。
実は現場付近では、その3日前あたりから道路陥没が起こっていたのです。
原因は分かってはいませんが、関連が疑われているのは、地下鉄工事です。
付近の地下では相鉄東急直通線のトンネル掘削工事が行われており、今回の現場から約300メートル離れた地点でも道路陥没が発生していたのです。
現場の地下約18メートルでは「相鉄・東急直通線新横浜トンネル」の掘削工事が行われており、発注主の鉄道建設・運輸施設整備支援機構は関連や原因を調べている模様。
思い出されるのは、2016年11月、JR博多駅前の大通りで起きた、大陥没がありました。早めの措置が望まれます。