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帰宅困難者 | 地震の2次災害 | |||
2011年3月の東日本大震災による首都圏の帰宅困難者は約515万人に上ったと推計されることが、内閣府の調査で分かりました。 首都圏在住の約5400人を対象に3月11日の行動をアンケート調査したところ、東京都で352万人、神奈川県67万人、千葉県52万人、埼玉県33万人、茨城県10万人が、11日中に帰宅できなかったとする推計結果が出ました。 首都直下地震等大規模災害が発生し、鉄道等の公共交通機関が当分の間、復旧の見通しがない中、多くの人が帰宅を開始しようとすれば、火災や建物倒壊等により、自ら危険にさらされるだけでなく、発災後に優先して実施しなければならない救助・救援活動等に支障が生じる可能性があります。 東京都は、2012年3月に帰宅困難者対策を総合的に推進する条例を制定し、2013年4月に施行しました。 | 2003年9月の十勝沖地震時、苫小牧で石油タンク火災、2004年9月の紀伊半島沖地震では、千葉県の石油タンクが被害を受けています。又、2007年7月の新潟中越沖地震では、柏崎刈羽原子力発電所の火災事故など色々な問題が起きました。 2008年5月の中国四川大地震では、危険性のある放射性物質が建物のがれきの下に埋まり、全ての回収が行われない事態がありました。また、工場倒壊によりアンモニアが漏れたり、リンが燃焼したりする化学物質漏洩(ろうえい)絡みの事故などが発生。そして硫酸やアンモニアなどから化学肥料を生産する工場が被災、周辺住民が一時避難。それらは、今後の土壌、水質や大気汚染問題を引き起こします。 又、中国四川大地震では、山の崩壊による土砂崩れダムの危険性がクローズアップされました。中国政府は、全面決壊の恐れがある場合は、下流の住民約130万人を避難させると報道。 また、避難した学校等で校舎や体育館などの構造体そのものが耐震性能を満たしていても、天井や外壁といった非構造部材が崩落してしまう可能性、あるいは設備機器の損傷も起こり、住民の避難所として使えなくなったりする恐れがあります。 日本においては、常時その危険を背負っています。日々、危険が起こりうる施設などのチェックを怠らずにしたいものです。 | |||
08:30 |
正常性バイアス | 罹災証明の遅れ | |||
異常事態が起こっても、それを正常の範囲内としてとらえ、心を平静に保とうとする働きの「正常性バイアス」が話題になっています。例えば日本のテレビでも流れたチリ大地震で、津波が押し寄せているのに、見ているだけで逃げない人達。時々ありますが、警報装置が鳴っているのに、平然と行動している人々。 この時「自分だけは大丈夫」との気持ちを抱いているのです。警報装置のほとんどで誤報が多いのも問題です。しかし、韓国の地下鉄災害のように、それを異常と認識せず、避難などの対応が遅れてしまうととんでもない事になります。 現代人は危険の少ない社会で生活しています。安全だから、危険を感じすぎると、日常生活に支障が出てしまう。だから、危険を感知する能力を下げようとする。 これまでの経験から「大丈夫だ」と思ってしまいがちです。たとえば災害発生時に、避難指示や勧告が出されても、家を離れることへの不利益と災害の危険性を天秤にかけて、後者を過小評価し、避難しなかったために命を落としてしまうというようなことがあります。 現状では、強い正常性バイアスの結果、パニックになる以前、つまり何が起こっているのか分からないうちに災害に巻き込まれるのです。逃げ遅れないためには、「危険だ」と直感できるような訓練をしておくことが大切であり、ある程度、災害の恐怖感を体に覚えさせておかなければならないようです。 | 仮設住宅への入居や生活再建支援制度などの支援を受けるには、住宅の経済的損失を証明する罹災証明が必要となります。 一般に、家屋の被害調査としては、危険度を判定する応急危険度判定、財産的損失を判定する被災度判定、地震保険算定に関わる損害認定の3つがあります。 熊本地震で課題となったのは罹災証明と公費解体の遅滞です。 遅滞の最大の原因は、人員不足です。 2011年の東日本大震災では、自治体の職員の方が被災したり、役所の建物がダメージを受けたことなどから、役所の機能がマヒして、り災証明書の発行がままならないケースがありました。 判定者の人数は限られますので、大きな災害では人的資源の不足で、判定が遅れるのです。その結果、復旧復興の基礎となる罹災証明の発行が遅れます。 それでも東日本大震災では岩手、宮城、福島の3県のうち、人口1万人以上の19市町だけで約76万件発行しているのです。ただ、発行までの日数が1カ月半以上かかったケースもありました。 | |||
08:30 |
岩手県大槌町の場合 | 地震で地滑りする造成地 | |||
東日本大震災から7年目の2018年。大槌町の復興状況は厳しさを拭えません。町は2、0Mかさ上げする土地区画整理事業を30haとし、約176億円をつぎ込んで2017年に完了しました。しかし、民間地権者の510区画のうち、55%は利用予定がありません。 もとの住民は「人がいなければ街にならない、時間がかかり過ぎだ」とし、内陸部に2014年家を構えました。 町は以前の商店街地区に12画の用地を設けましたが、戻ったのはわずか6店舗。 関東大震災後の復興事業はすさまじいものがありました。今までとは違う都市計画構想をうちあげたのです。 大災害後の都市計画は、元に戻すことを考えるのでは、また同じ将来の過疎の町を作ることに他ならないのです。 | 地震で地滑りを起こす恐れがある大規模盛り土造成地は全国にたくさんあります。2011年3月の東日本大震災では、仙台市内の盛土造成地で地滑りや地盤変形が発生しました。国は全国の自治体に場所の調査と公表を求めていますが、半数以上が公表出来ていない事が2017年6月に発表しました。 阪神・淡路大震災や中越地震を教訓に国は2006年から対応を求めていますが、費用負担の重さや地価下落への懸念などから、対応が後手に回っているのです。 国土交通省が全国1741市区町村の状況を調べたところ、同省の定めに沿ってホームページなどで公表しているのは864自治体で、全体の半分以下でした。そのうち505は対象の盛り土造成地がなく、359は場所をマップで示していました。しかし、ほかは対象地の有無の調査は済んでいますが公表に至っていないケースが209、調査中が245。未調査の自治体は423もあり、全体の4分の1にあたります。 独自の方法で調べて公表している自治体はごく一部です。 対策には多額の費用がかかり、手付かずの自治体が多いのです。見た目で危険が伝わりにくく、地域イメージの悪さや地価下落への住民の反発が懸念されることも、調査に消極的になる要因とみられています。 |