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住宅業者契約裁判例ー1 | 住宅業者契約裁判例ー2 | ||||
1995年、A氏は住宅販売業者から土地と建物を買うため、手付金1,000万円を支払いました。 早速A氏は住宅ローン5,500万円を計画し、本件契約にローン特約を付したのです。その後A氏と販売業者との話し合いで特約期限を延長し、申込先は2つの銀行、融資額は5,000万円で変動金利、返済期間は融資申込先の最長年数とする、という内容の合意書を交わしました。 そしてA氏は2つの銀行に融資申込みを行ったが、完済時の年齢制限や、年収に対する返済負担率で問題があるとして断られたので、再び2つの銀行の支店7ヶ所に、完済時年齢が75才までの大型ローンの融資の可否を問い合わせをしたけれど、受け入れられなかったのです。 結局A氏は住宅販売業者に対し、ローン解約を通告し、手付金の返還を求めましたが、販売業者はA氏が金融機関に対して真摯な申込みをしていないとして、本件解約は無効であると拒否したため、A氏は本訴訟を提起しました。 1997年東京地裁の判決は、A氏は真摯な努力義務を尽くしたとして、その解約を認め、売主業者に手付金の返還を命じました。 | 2003年 長野県茅野市に住む男性が、市内の住宅建設会社に住宅の工事契約を結び着工。着工時に400万円を支払いました。 その後、基礎工事に多くの欠陥が見つかり契約を解除。男性は2005年10月、建設会社を相手取り、工事代金の返還を求める訴訟起こしましたが、支払い能力がなかったため、2006年11月に100万円を受け取り和解。 その後 男性は2007年11月、長野県は施工者の建設業許可にあたって審査を怠った過失があり、そのため、欠陥住宅の工事をやり直す羽目になったとして、長野県を相手取り、940万円余りの損害賠償を求めました。申請書類が不十分だったことなどを挙げ、形式的な審査だけで実態調査を怠ったなどと主張。 2009年5月、長野地裁は建設業法の第一の目的は、適正な施工を確保し、発注者を保護することだと言及。「出勤簿だけで専任技術者の要件を満たすと判断したことは、審査を尽くしたといえない」として、県に約575万円を支払うように命じました。 その後長野県は判決を不服として東京高裁に控訴しました。 |
売買契約の取り消し | 環境は自主調査 | ||||
2年ほど前に購入した木造の戸建て分譲住宅に住んでいる男性は、最近、自宅の外壁が所々、亀裂したり反ったりしているのが気になりました。そこで、改めて購入時に住宅会社からもらった書類を熟読してみると、住宅購入の時期より1年以上も前に建物は完成していたのです。 男性は、住宅会社に外装材の補修を要求するとともに、完成から1年以上たった住宅を新築として販売したことを問い詰めました。すると住宅会社は、「当社の社内規定では完成後2年以内なら新築です」と返答。 男性は、住宅リフォーム・紛争処理支援センターに相談したところ、住宅会社 が販売した住宅は住宅品質確保促進法に照らすと新築住宅に該当しないとのこと。 品確法2条2項は、完成後1年未満で、住居として未使用の住宅を新築住宅と定めています。 また、消費者契約法4条1項1号によると、売り主から商品に関する「重要事項」について事実と異なることを告げられ(不実告知)、事実と誤認して購入した場合、買い主はこの売買契約を取り消せると定めています。 消費者契約法は、重要事項の具体的な内容は定めていませんが、売買契約を取り消せる権利は、契約締結から5年以内で、しかも消費者が事実を誤認していたと知ってから半年以内の場合に有効です。 よって、約2年前に自宅を購入した男性が権利を行使すれば、住宅会社は住宅を買い取らなければならなくなるのです。 | 男性はあるマンションを売主業者から購入。しかしその後マンションは米軍基地から約7キロの地点に位置し、マンションは航空機航路の真下である事がわかったのです。 男性は、売主業者に対して、騒音は重要事項の告知義務がありそれを怠ったことは不法行為または債務不履行であり、損害賠償金を支払うよう訴えました。 結果、裁判の判決は男性による損害賠償請求は認められませんでした。 理由の一つとしては、騒音等の公害問題については重要事項説明における説明義務の対象とはなっていない事。 そして、マンション近隣の騒音は公知の事実であり、騒音の程度も買主自身で事前に気づき判断する必要があるのです。 住宅の選択は、環境も自身で調査しなければなりません。 すべてを業者任せにしない事です。 |
建築士の書類偽造問題 | 怖いサブリース | ||||
2017年、松本市の建築事務所に所属していた建築士が、住宅6軒の建築確認済証を偽造。そしてその偽造書類を保険会社に提出。さらにうち1軒では検査済証も偽造していたのです。 また、これらとは別の3軒で税制上の優遇措置を受けられる「長期優良住宅」の認定通知書を偽造。 2017年12月、松本市の資産税課に「住宅用家屋証明」の申請が出されたのをきっかけに事件が発覚。 松本市が問題を起こした建築士に話を聞いたところ、これまでに偽造していた書類が次々に判明。仕事の進捗が遅くなり、着工日に間に合いそうになかったことから偽造に手を染めたこの建築士は2017年12月に懲戒解雇されました。 2018年3月、長野県は松本市と連携して、この2級建築士を公文書偽造、同行使容疑で松本署に刑事告発。 問題発覚時点で既に工事が完了していた1軒については、事務所を開設した建設会社から「建築基準法適合調査報告書」を提出させたうえで、内容に問題がなければ松本市が検査済証を発行する予定。 工事完了目前だった1軒についても、報告書を提出させることで、工事完了後に検査済証を発行できるようにする事となりました。 それ以外の4軒については、基礎工事段階だったので、改めて建築確認を受けさせたうえで工事の再開を認めたのです。 | 大手不動産会社から、税金対策になるとの話を聞き、資料を渡されました。資料には、一般のアパートの家賃は年々下がりますが、この会社でサブリースのアパートを建てれば30年後も家賃収入は下がらないとするものでした。 それで、全額借金でアパートを建てたのです。ところが周りにもサブリースのアパートが次々と出来、入居者の数は徐々に減っていきました。 結果、18部屋のうち、3分の1が空き部屋に。2014年3月、男性は突然会社から家賃保証の金額を下げたいと告げられました。しかし、不動産会社からは金額が下がるという説明を受けた記憶はありませんでした。契約期間は確かに30年間と書かれています。 しかしよく見ると、保証するとしていた家賃収入は、10年を経過したあとは2年ごとに改定するとなっていたのです。 マンションや戸建てなどを売買する場合、法律によって重要事項説明が不動産会社に義務づけられていて、さまざまなリスクについて口頭と書面で説明する義務が定められています。 しかしサブリースの場合、一括借り上げという貸し借りの契約のため、この法律の対象外となり、売買のときのような厳格な説明は義務づけられていないのです。 男性は、契約書に家賃改定の可能性があると書かれていることは認識していましたが、安定した収入になるという営業担当者の言葉を信用したのです。 しかし、2度にわたって家賃を減額され、さらにローンの返済額を下回る金額を提示されたため、2015年やむなく解約しました。 残されたのは3000万円近くの借金と、半数が空き部屋のアパートです。 |