建物に潜む危険な事故

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ソーラー発電の火災事故危険な賃貸住宅
2016年10月、消費者庁は2008年以降に火災や発火、発煙といった事故が全国で102件、確認されていると発表。
2011年に千葉県で発生した屋根一体型太陽電池モジュールの発火事故では、当該家屋が半焼し、隣家にも延焼する被害がありました。
102件の事故のうち、原因が推定できているものが58件ありました。その内容は、施工不良が31件、製品不具合が20件、残りは外的要因です。
施工不良とは、設置工事の際にケーブルの接続が悪い事例。製品の不具合は、リコール対象製品の交換が済んでいないケースで起きたもの。
外的要因としては、落雷などの自然現象が原因の場合もあります。事故の発生個所では、電気を直流から交流に変換するパワーコンディショナーからという事例が複数ありました。
住宅用太陽光発電システムの設置件数は2015年末時点で、累計約193万件に上ります。2009年に電力の固定価格買い取り制度が始まり、2011年以降、設置台数が急速に伸びました。
これらの住宅4が老朽化して点検が不十分なケースが増える事が予想され、消費者庁では今後、火災や発煙などの事故が増える可能性があると指摘しています。
消費者庁発足以降の2009年から2016年に、「生命身体に危害を及ぼす不具合」に関する情報が653件寄せられ、このうちけが人の発生などの「事故情報」が323件ありました。
2011年には、札幌市内の社宅で、換気扇が故障した状態でガス給湯器を使用したことにより、住人が一酸化炭素中毒死亡する事故がありました。
また、「浴槽の底が抜けて足にけがをした」「給湯器が故障しシャワーでやけどを負った」など、全治1カ月以上の被害となった事故も25件ありました。
不具合の発生場所で見ると、付帯設備で426件(65%)、建物では227件(35%)あり、修繕しないで使い続けると事故につながりかねない「危険情報」も330件にのぼります。
また築30件年以上の住宅での事故情報は18件あり、外壁や天井の落下、外階段や手すりの腐食など、老朽化や適切な管理が行われていないことが原因と考えられる事故もありました。
民法では、貸し主が賃貸物の使用・収益に必要な修繕の義務を負うと定められています。
給湯器などの付帯設備の修繕は貸し主が行う必要があり、借り主から不具合の連絡があれば速やかな対応が求められているのです。
しかし、全体の約2割に当たる147件は「修繕を求めたが貸し主がなかなか対応してくれない」という内容でした。
消費者庁は、賃貸住宅の建物や設備の老朽化などが原因でけがをしたといった情報が数多く寄せられているとして、2016年3月に関係業界団体に対して必要な修繕を行うことなどを要請しました。
消費者に対しても、入居前に不明な点や気になる点は十分な説明を受けるよう注意喚起するとともに、不具合があれば速やかに貸し主や管理者に連絡し、対応してもらえないような場合には賃貸住宅に関する相談窓口などに連絡するよう呼び掛けています。



ブロック塀倒壊事故エレベーター閉じ込め事故
2018年6月大阪北部地震(震度6弱)で、大阪府高槻市の小学校のコンクリートブロック塀倒壊により、小学生の女児が死亡。倒壊の原因は、建築基準法違反で、しかも管理者がブロック塀の安全性を軽視していた事によります。
しかし2016年4月の熊本地震でも同様の事故で死傷者が出ています。
社会医療法人の理事長の自宅敷地のブロック塀が地震により倒壊し、男性が下敷きとなり、圧迫による外傷が原因で死亡。また、女性が倒れたブロック塀に足を潰されたまま、3時間も救助を待った結果、左大腿骨や左脛骨などを骨折。
この後、両関係者から、ブロック塀所有者に対し過失致死罪と過失致傷罪で2017年10月に刑事告訴。
2018年3月には、遺族らが民事訴訟を起こしブロック塀に瑕疵があったとして所有者に対し、
総額6789万円損害賠償を求めました。
このブロック塀は設置から20年以上が経過し、周辺住民からは「危険だから撤去してほしい」と所有者に何度も伝えていたといいます。
さらに1978年に起きた宮城県沖地震によるブロック塀倒壊で11人が犠牲となったのです。
2019年から
通行障害建築物に、建物に附属する一定の高さ・長さを有するブロック塀は耐震診断及び耐震改修を促進することが必要になりましたが、これで安全が確保できるでしょうか。
2018年6月、大阪府北部で震度6弱を観測した地震で、エレベーターに人が閉じ込められた件数は339件ありました。
これは、2011年の東日本大震災時の約1・6倍に当たるのです。
新しい機種では、地震時に最寄り階で自動停止するシステムが採用されていますが、旧型の場合は途中で止まったままになります。

揺れを検知すると最寄り階で自動停止する「地震時管制運転装置」の導入が2009年に建築基準法施行令で義務付けられ、現在は多くのエレベーターが震度5弱以上~3以上程度の揺れを検知すると最寄り階で停止する仕組みになっています。
大阪府交野市では、二つのマンションで小中学生4人が最大45分間、外に出られなくなったケースがありました。
今後来るであろう南海トラフ巨大地震の時には約4万1900台・最大約2万3000人が閉じ込められると、国は試算しています。



シャッターが危険老朽家屋の倒壊
2016年9月80歳代の男性が東京武蔵野市の自宅の車庫から道路に出ようとしている最中に、リモコンでシャッターを閉じる操作をしたところ、降りてきたシャッターにぶつかり、その衝撃でバランスを崩して転倒、シャッターに挟まれて腰や腕の骨を折る大けがをしました。
これは、シャッターの下をくぐり抜けようとしながら、閉じる操作を行っていた事が間違いで、取扱説明書の注意書を良く見る必要があります。ちなみに、障害物がぶつかると止まるような安全装置もついていませんでした。
消費者庁によると、電動シャッターに挟まれて死傷する事故は、2001年から2017年の間に28件報告されています。そのうち14件は死亡15人はケガの事故です。
2009年4月愛知県刈谷市の住宅の車庫で、自動停止装置の付いていない電動シャッターに居住者が腹部を挟まれて死亡。
2010年10月北海道釧路市の運送会社の車庫で、電動シャッターに従業員が挟まれて死亡。
2008年に店舗の電動シャッターに50代の人が挟まれた死亡事故では、シャッターは1971年に設置され、安全装置もなかった。スイッチはシャッターの動きが見えにくい場所にあり、スイッチを押した人が事故を確認できなかったとみられている。
消費者事故調が計千人を対象に行った意識調査では、電動シャッターが閉まる途中に下をくぐったことがあるとの回答が56%に上ったのです。
2018年、大阪府東大阪市川俣本町で何の前触れもなく、音を立てて木造2階建ての民家がいきなり全壊
この民家には70代の女性と2人の息子が暮らし、当時、家にいたのは女性と50代の長男でした
。市消防局によると、2人は建物に挟まれ、身動きがとれない状態だったのですが、無事吸湿出来ました。
近所の人によると、前から全体が傾き、つっかえ棒のようなもので支えている状態だったようで、近所でも有名な“危険家屋”でした。家屋はこの住人らの持ち家でしたが、土地は借地でした。
こうした自然倒壊現象は実は各地で起きているのです。岐阜県大垣市では2016年9月、築95年の木造2階建て民家が崩れました。2008年8月には東京都渋谷区で築約80年の木造2階建て民家が崩壊しています。
民家倒壊の原因としては、腐敗した木材瓦の重みに耐えられなくなった可能性があります。ほかに地中の埋設物の存在も挙げられます。高度成長期はまだ、建築時に出た廃材を地中へ捨てる慣習があり、その地下埋設物も時が経てば腐敗し、地盤沈下の原因になります。その上に立つ家屋が古くなっていれば、小規模な沈下であっても、それをきっかけに一気に崩れ去る可能性があります。



雪による太陽光パネル破壊
屋根に設置してある太陽光発電パネルが、雪の重さで壊れるトラブルが各地で発生しています。
太陽発電パネルの支持部分に加わる積雪荷重はJIS(日本工業規格)で定められています。ただ、JIS規定での積雪荷重は実際に降り積もった雪の重さよりも小さかったのです。
太陽発電パネルを載せた屋根にはほとんどのところ、雪止めを設置しているために、頻繁に雪下ろしをしないことが多いのです。
にもかかわらず、JIS規定では雪が屋根から滑り落ちる前提で、積雪荷重を屋根勾配に応じて低減していたからなのです。
そのためJIS規定では、その低減を、2017年3月に改訂し、なくしました。
しかしながら、JIS規定に見込まれていない荷重がまだあるのです。太陽発電パネルに積もった雪がガラス面を滑った際に発生する、パネルの横枠を押す「荷重」です。
ですから、パネルメーカーが横枠を押す荷重を考慮していないため、横枠が変形する可能性は残されているのです。