近隣トラブルの悩み


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隣接地の調査不足隣人とのトラブル
千葉県で空気が良く、緑がある場所での住宅を探していたAさんは、不動産業者に依頼しました。そして不動産業者が推薦する土地は、南東側に約4mの水路敷きに接し、その先には高さ約10mほどの竹や雑木等が繁茂する小高い丘に続いているところでした。
1999年、建売分譲会社と売買契約をし、転居しました。不動産業者による調査だと、南東側の水路敷き先の隣接地が土地区画整理事業用地であること及び近くに公園ができることでした。
ところがその年に、南東側の水路敷きに接した土地区画整理事業用地の外縁部に、鉄筋コンクリート造の高さ約5m、長さ約103mの垂直擁壁が設置されたのです。実はこの擁壁に関する説明会が近隣住民に対して1997年までに実施されていたのです。

Aさんは擁壁からくる精神的圧迫を免れるため、居間を2階に設置する改造工事を行い、その後不動産業者と建売分譲会社に対して、擁壁についての調査・説明すべき義務を怠ったとして訴えました。
2002年千葉地裁は建売分譲会社に対して、Aさんの購入動機・目的を知っており、それに対する契約上の調査義務ないし説明義務に違反しているのとして、住宅改装費用一部の支払いを命じました。
1999年住宅を購入したAは、隣人Bから日頃「子供がうるさい」と苦情を言われ、洗濯物に水をかけられたり泥を投げられたりしたことがあり、警察にも相談していました。そこでAは01年住宅を売却しようと不動産業者Cに依頼しました。又、この後この住宅を買う事になるDさんは不動産業者Eに依頼をしていました。
2002年3月不動産業者CとEは他の購入希望者とA宅を訪れた際、Bから大声で苦情を言われ、この時の取引は成立しませんでした。しかし同じ日Dさんが子供とともに現地を訪れたときには、Bからの苦情はなかった。
Dさんは、不動産業者Cから重要事項説明書および「隣人の方より、騒音等による苦情がありました」との記載のある「物件状況等報告書」に基づいて説明を受けていましたが売買契約を締結し、代金を支払って所有権登記をしました。
ところが、しばらくしてDさんが子供と現地に行くと、Bから「うるさい」と言われ、後日警察を呼ぶ騒ぎにまでなったので入居を断念しました。そこでDさんは、不動産業者CとEに対して、説明義務違反があるとして不法行為による損害賠償を請求しました。
一審はその請求を棄却されましたが、その後、控訴し大阪高裁は2004年売買代金の20%相当額として、A及び不動産業者Cにその支払を命じました。
Aと隣人Bとのトラブルや02年3月の件をDさんに説明せず、又、最近は隣人との間で全く問題が生じていないという誤信を生じさせたのであるから、説明義務に違反したとの理由です。
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境界塀のトラブル理不尽なトラブル
隣地境界に塀を造る予定でしたが、「こちら側の敷地での作業を前提にしていることには納得できない」と隣地からクレームがあり、やむなく境界線から30cm離して築造する事になった例がありました。
ところが、内側に寄せて築造すると隣地側にある所有地は、隣地同然の状態となります。そして「時効取得」の可能性がある事になります。
時効取得とは、20年間自分の所有地として、平穏かつ公然に使用していれば、他人の所有地でも所有権を取得できることです(民法第162条第1項)。20年も経過すれば、経緯は忘れ去られ、立証困難になるのです。十分な注意を。
最近の近隣トラブルには理不尽と思える苦情が増えています。戸建ての建設現場でのこと。
敷地の南には道路があり、向かいは畑がひろがっていて、東と北側は空き地という、近隣問題はなさそうな環境です。工事着工前、工務店の社長が近隣に挨拶に行った際は、「お互いさまだから」と皆、感じがよかったのです。
客の要望で、日曜日に上棟することになりましたが、社長は「近隣のあの人たちなら理解してくれるはず」と安心していたのです。
ところが日曜日の作業をしていたら、警察のパトカーが現れ、地元の人から「休日に工事とは、労働基準法違反ではないか」との通報があったと言うのです。
通報したのは隣人ではなく、道路を隔てた田畑のさらに南側の住民と後でわかったのです。周囲に音を遮るものがないので音が響き、気に障ったようです。
08:30


太陽光パネル反射裁判ー1太陽光パネル反射裁判ー2
兵庫県姫路市でJAG国際エナジーは約1MWの太陽光パネルを2014年6月に設置。
その後隣地住民の住宅2階の東側窓から反射光が入るようになりました。6月には部屋の温度は40℃、7月には40℃後半、8月には50℃を超えるまで上昇し、隣地住民夫婦は、熱中症と診断されました。
そこで隣地住民は 、熱中症と診断されるなど、日常の平穏を妨げ、精神的苦痛を生じさせ受忍限度をはるかに超えているとして2015年9月、神戸地裁姫路支部に提訴。
パネルの一部撤去と、損害賠償300万円、弁護士費用30万円の支払いを求めたのです。
これを受け、JAG国際エナジーは2014年11月、隣接する住宅と太陽光発電所の間にシラカシを植え、12月には遮光ネットを2重にしてシラカシを覆うように設置。
その後2016年3月、原告宅の前に、最初の植樹よりも大きな高木を大規模に追加的に植樹。その結果、2階にはほとんど反射光が入らなくなりました。
結果、2017年11月30日、訴訟が、当該隣地住民の取り下げにより終結しました。
2008年、神奈川県横浜市で木造2階建ての工事が始まりました。
屋根工事で、南側の屋根に太陽光発電パネルを7枚、北側の屋根に12枚設置すると、北側隣地に建つ隣家の住民から、太陽光発電パネルの反射する太陽光が住宅内に差し込むと、申し出がありました。
隣家の住民は、新築住宅の所有者と施工者のタマホームに対し、太陽光発電パネルの撤去をめぐって交渉を始めたのです。
しかし、新築住宅の所有者は「反射光は自然現象であり、私に責任はない」と主張。
タマホームは、隣家の住民が費用を負担して撤去することなどを提案したが、隣家の住民は提案を受け入れませんでした。
そこで隣家の住民が、太陽光発電パネルの撤去を求めて、施工者と新築住宅所有者を相手取って提訴。
2012年4月、横浜地裁の判断は、隣家の住民の請求を認めました。
しかし2013年3月、東京高裁は地裁の判断を覆したのです。

近隣トラブルの悩みー2 を参照して下さい