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管理費の横領事件 1 | 管理費の横領事件 2 | |||
マンション管理費等の横領事件は後を絶ちません。2003年以降、国土交通省の把握分だけで127物件、被害総額は約12億円にのぼります。以下の例をご覧ください。 1. 東京の東洋ビル管理は首都圏で70物件を管理していましたが、2003年に倒産後、50物件で計約1億8千万円が会社の運転資金に使い込まれていたことが発覚した。中には白紙の払い戻し請求書に組合の印鑑を押してあらかじめ渡したり、印鑑を預けたりしていた管理組合もあったのです。 この場合は、マンション管理適正化法が制定されてから第一号となる処分該当者でした。旧公団(現在はUR)が手掛けた超高層マンションであり、その管理会社が旧公団(現在はUR)の関連会社だったから問題あり。しかもそこの副社長が国交省の天下りというから、たまげます。 2. 2005年に倒産した東京の 不動産会社・和泉創建は、26の管理組合の口座から計1億5千万円を会社の運転資金に使い込んでいました。 3. 2005年5月、マンション管理会社の元営業課長を、管理費を着服したとして業務上横領容疑で逮捕。1998年から約5年間で、東京都中央区のマンション管理費の口座から計約3200万円を着服したとみられます。マンションは50階建てで624戸。 | 4. 2005年、ライオンズマンションの管理業務を請け負う大京アステージの沖縄支店の元係長が、ライオンズマンションの管理組合の修繕積立金を横領していました。被害総額は数千万円に上るとみられます。元係長はカラーコピーを使用して銀行の残高証明証を偽造し、組合側に提出していました。元係長は17棟の管理と組合運営を担当していました。横領したお金はアステージが肩代わりして組合に補てんしたといいます。 5. 2007年7月、金沢地検は金沢市の不動産管理会社社長を、管理委託を受けたマンションの修繕費を横領したとして逮捕。2008年7月金沢地裁は、約20組合から5億円余りを着服したとして業務上横領の罪で懲役7年の実刑判決を言い渡しました。 6. 2008年6月、大阪府吹田市千里山の分譲マンションの管理をしていた不動産会社の元社長を、管理費と修繕積立金計400万円を 着服したとして、業務上横領容疑で逮捕しました。約3000万円の余罪があるとみて追及しています。調べでは、 管理組合から預かっていた印鑑や 通帳を使い、組合の口座から会社の口座に振り 込んだ疑い。 | |||
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管理費の横領事件 3 | 管理費の横領事件 4 | ||||
7. 08年11月、神奈川県相模原市内のマンションの管理組合役員を、業務上横領の疑いで逮捕しました。調べでは、修繕責任者として所持していた通帳と印鑑を使い、修繕積立金計約2350万円を着服した疑い。ほかの組合役員が積立金の決算処理をして着服が発覚。発覚直前に植松容疑者が逃走したため、マンションの住民が刑事告訴した。 8. 2009年3月、静岡県三島市で、業務上横領の疑いで無職の男を逮捕しました。男はあるマンションの管理組合の会計理事を務めていたという。08年修繕費として住人から集金した現金200万円を積立口座から引き出し、着服。「金は借金の返済にあてた」などと供述しているという。 9. 2009年5月札幌市中央区にあるマンションの管理組合理事長を管理費や修繕積立金などを横領したとして逮捕されました。管理費を横領した疑いです。マンションでは正面入口と駐車場の耐雪工事を行いましたが、業者から督促状が届き、マンションの住民が通帳を調べたところ、明らかになりました。 | 10. 2015年11月、新潟県南魚沼市の大型リゾートマンションの管理組合前理事長(公認会計士)が約16年間にわたり、組合の管理費など総額約11億7800万円を着服したことが判明し、管理組合は、時効になっていない分について、業務上横領の疑いで警視庁に告訴状を提出しました。 マンションは19階建てと12階建ての2棟あり、1990年に竣工。スキー場に隣接し、上越新幹線の越後湯沢駅から車で約10分という近さから、首都圏のスキー愛好者らが購入したとされます。 前理事長は平成11年から去年までの15年以上にわたって理事長を務めていましたが、組合の口座から自分の口座に送金するなどの手口で、11億円余りを着服していました。 前理事長は、口座の残高証明書を改ざんするなどして発覚を逃れ、組合に対し、「一時的に借りて株などの投資に回し、利益を上げるつもりだったが、失敗して返せなくなった」と説明。 組合は、2014年11月に前理事長を解任し、2015年1月、時効になっていないおよそ4億円分について、業務上横領の疑いで警視庁に告訴状を提出しました。 |
マンション理事長解任裁判 | 導入決議トラブル | ||||
2013年、福岡県のマンションで理事長だった男性が業務を委託する管理会社を変えようとしたところ、他の理事らが反発し、「理事長は解任した」と住民に通知しました。 男性は解任は無効だとして管理組合を相手に訴えを起こしました。福岡地裁判決は、解任の規定がないことを重視し、「在任中の理事長の意に反して理事会が地位を失わせるのは許されない」として解任を無効としました。 二審の福岡高裁でも男性が勝訴。 しかし2018年12月最高裁は、解任できるとの初判断を示したのです。管理規約は、理事長の選任は「理事の互選」と規定。理事長や理事などを含む「役員」の選任や解任は「総会」の議決事項としました。 全国のマンション管理組合の約9割は、今回の組合と同様、国土交通省作成の「標準管理規約」に準拠しています。 標準管理規約は、理事会による理事長の解任について明記しておらず、判決は今後広く影響を与えそうです。 | 札幌市にある、全544戸の5棟建ての分譲マンションでのトラブル。 2014~15年に住民総会を開き、マンションの電力供給について、各戸が電力会社と個別に契約を結ぶのではなく、管理組合を通じてマンション全体で「まとめ買い」して電気代を安くする「一括受電サービス」に変更することを4分の3以上の賛成多数で決議。 変更には、全戸が電力会社との契約をいったん解除することなどが必要でしたが、「電気の安定供給に不安がある」などとして住民2人が従来の契約を解除しませんでした。 そのため、サービスを導入出来なくなり、契約変更に賛成した住民1人が、反対住民2人に計約1万円の賠償を求めて提訴。裁判では、契約変更を全戸に求めた総会決議の効力が争点となり、1審・札幌地裁と2審・札幌高裁の判決は「住民は総会決議の制約を受ける」として被告2人に計約1万円の賠償を命じました。2019年3月最高裁の上告審判決があり、契約が実現していれば安くなったはずの電気料金差額を反対派に求めた住民側の請求を退けました。裁判長は「組合の決議や細則で解除は義務づけられない」と判断したのです。 しかし住民総会での導入決議を巡るトラブルも少なくないのです。賛成・反対住民の対立がエスカレートし、マンションなどの管理組合が反対住民の部屋の競売を求め裁判所に訴えたり、反対住民が管理組合の理事長に慰謝料を求めて提訴したりするケースもあります。 老朽化が進むマンションが増える中、住民全体の利益が広く認められなければ管理や修繕も進まない状況は変わらないままというのが、今のマンションの状況です。 |
悩み多きマンション管理ー2 も参照して下さい