土砂災害



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土砂災害には、土石流、地すべり、がけ崩れなどの現象があります。
土石流:山谷の土砂や岩石などが、長雨や集中豪雨によって水と一体となり、一気に下流へと押し流れ出る現象。その流れの速さは規模によって異なりますが、時速10~40kmという速度で一瞬のうちに人家や公共施設を壊滅させます。
地すべり:緩やかな斜面の場所で、粘土のような滑りやすい地層に雨水などがしみ込み、その影響で地面が動き出す現象。広い範囲にわたって起こるのが特徴で、家や田畑、道路などの交通網などが一度に被害を受けてしまいます。
がけ崩れ:雨や地震などの影響によって土の抵抗力が弱まり突然斜面が崩れ落ちる現象。突然発生するため、人命や財産を奪い、悲惨な災害につながってしまう場合もあります。
 各都道府県が公開している土砂災害危険箇所と土砂災害警戒区域
また、土石流が起こりやすい地質もあるようです。
 特殊土壌地帯
2017年7月、九州北部を中心とした記録的豪雨で、福岡、大分両県では死者は計35人,行方不明6人。この結果国は激甚災害に指定しました。
20148月、局地的な短時間大雨によって広島県の安佐北区可部、安佐南区八木・山本・緑井などの住宅地後背の山が崩れ、同時多発的に大規模な土石流が発生。
広島市災害対策本部のまとめでは、822日時点で少なくとも土砂崩れ170か所、道路や橋梁への被害290か所を確認。また国土地理院が航空写真を解析した結果、安佐南区から安佐北区にかけての50か所で土砂流出の発生を確認
行方不明者の捜索は約1か月間に及び、両区の被災地域での死者は74、重軽傷者は44人にのぼりました。
土砂災害による人的被害としては過去30年間の日本で最多であり、19837月に島根県西部で87人が死亡・行方不明となった豪雨による土砂災害以来の大きな人的被害となったのです。
また広島県全体では、両区を主として、133軒が全壊したのをはじめ330棟の家屋が損壊し、4,100棟以上が浸水被害を受けました。
土砂流出発生前から複数の通報が寄せられましが、安佐南区山本地区では320分に崖崩れの通報があったにもかかわらず広島市からの避難勧告の発令が遅れ、1999年に発生した6.29豪雨災害の教訓が生かされませんでした。
国土交通省中国地方整備局は周辺地域の324渓流を点検した結果、緊急避難体制の確保が必要な渓流が77カ所あることが判明したのです。
08:30


大分県の山大崩落の謎広島土砂災害事故の賠償
2018年4月、大分県中津市耶馬渓町裏山が大規模に崩落し、民家4軒が土砂にのまれ、3世帯の男女計6人の死亡が確認されました。

裏山は斜面が長さ200メートル、幅200メートル、高さ約100メートルにわたって崩落。現場は県が2017年に傾斜30度以上、高さ5メートル以上の「土砂災害特別警戒区域」に指定していた所です。

一帯の岩石は縦の割れ目が入りやすい特徴を持つため、岩石の割れ目がかかわっているかもしれないとの説もあります。現在でも原因の究明が行われているようです。
現場周辺は水がたまりやすく地盤が緩いことが、地元の建設関係者の間で知られていました。ただ、まとまった雨が降ったのは、約3週間前。
ところが、地元住民によると、数日前から山に異変があったといいます。土砂崩れに巻き込まれた男性が数日前からは「裏山から石が落ちてくる」と話していたのです。そして、山が2、3日前から「ゴー」と地鳴りがしていたとの証言もあります。
崩壊から1週間後の報道写真を見ると、そこに写り込んでいたのは巨大なコンクリート塊でした。しかもそこからは鉄筋が中から伸び、しかもH形鋼が埋め込まれている姿も確認できます。また、倒れた木々は人工林でした。そこから推測するに、何らかの人工物が壊れた結果との想像も出来ますが?
2014年8月に広島市を襲った豪雨の局地的な豪雨で、市立安佐南中学校の敷地の法面が7カ所で崩落。崩落した箇所の幅は最大で30mに上り、法面の下の住宅でブロック塀や車などが壊れるなどして9軒が被害を受けました。
いずれの法面も保護工は施していなかったものの、これらの崩落による負傷者は出ませんでした。
法面の上端に敷設してある側溝は、幅30cm、高さ30cmほどで、毎分2.1m3の排水能力をもちますが、民間会社に調査を委託した結果、当時の排水能力は毎分1.08m3だったことが判明。
市教育委員会によると数年間、掃除を怠っていたために土砂や落ち葉がたまり、十分な排水能力がなかったのです。
それにより、市教育委員会は学校の日ごろの管理が不十分だったとして、崩落によって住宅などが被災した住民ら11人と損害賠償の交渉を進めています。
家屋などが被災した住民11人のうち、2015年12月末までに7人と賠償の示談が成立。賠償金は計290万円。残る4人とも賠償に向けた交渉を進めています。
市教育委員会は再発防止策として、側溝から水があふれても法面に流れ落ちないように、側溝の法面側に高さ約40cmのコンクリート製ブロックの壁を80mにわたって設置した。そのほか、月に1度の施設点検で、側溝を重点的に点検するよう各学校へ指示しました。



内陸地震の山崩れ緩い傾斜地の山崩れ
2018年9月の北海道胆振東部地震による死者41人のうち、36人は厚真町で生じた大規模な土砂崩れで亡くなりました。上空から見たこの地域一帯の山肌はほとんど崩れていました。圧倒的な地震の威力を感じます。
ただ、山崩れは今までも頻繁に起きているのです。
1993年7月の北海道 奥尻島沖マグニチュー ド7. 8地震 による斜面崩壊 および落石が数多 く発生。ホテル 「洋々荘」裏で斜面が崩壊 して建物 が倒壊 し, 宿泊客 をはじめ とす る人命が失われ, 津波による災害に次 ぐ大 きな もの となりました。
2004 年10月新潟県中越地方を震源とするマグニチュード 6.8 の地震が発生。40 名の方が亡くなる痛ましい災害となりました。
この地震では、多くの斜面崩壊や地すべりが発生し、人的被害に加え、住宅・家屋や耕作地、道路・水道・JR 等ライフラインに大きな損害を与えました。
1984年 の長野 県西部地震 によ り発生 した崩壊 におい ても同様 の傾向が確認 されています。
内陸地震はその規模が小さくとも、斜面崩壊や地すべりが群発することが知られ、甚大な災害となりうるのです。
2019年10月の台風19号で群馬県富岡市内匠(たくみ)の集落に面する東側の斜面が2カ所で崩れました。
崩壊の幅はどちらも約20m程で、土砂崩れは途中で合流し、巻き込まれた住宅1棟が全壊、5棟が半壊。そして住民3人が死亡、5人が負傷しました。
ただ、内匠地区の人たちは当時避難勧告が出ていなかった事から、避難せず自宅にいたといいます。
では、降り始めからの総雨量が400ミリを超えていたにもかかわらず、なぜ避難勧告は出なかったのでしょうか。それというのも、内匠地区の住民の多くは、過去に土砂災害がなかったことや土砂災害警戒地域ではなかったためハザードマップには出ていないのです。
実は、今回土砂崩れが起きた斜面は傾斜がおよそ20度と緩やかなため、土砂災害警戒区域には指定されず、市は避難勧告を出さなかったのです。
国が土砂災害警戒区域に指定する基準は30度以上の急傾斜地国交省国土技術政策総合研究所の見解は、20度程度の緩い傾斜地で土砂崩れが起こる例は珍しい、と指摘。
では、なぜ傾斜が緩いにもかかわらず土砂崩れが発生したのでしょうか。
水を通しにくいが、バターのように柔らかく崩れやすい、軽石が粘土になったものが地層の中に隠れていたために、傾斜が20度と緩いにも拘われず、とどまっていたやわらかい土の層が大雨をきっかけに崩れ、土砂災害につながった可能性があるのです。


近くに緩い傾斜の山がある家の住民は早めの避難が大事であり、災害の激甚化により、これまで被災するリスクが低かった緩い斜面でも土砂崩れが起こる可能性があります。
専門家といわれる人達は当然過去の例を参考に将来起こり得ることを考えますが、今後は過去にないような災害が起こりますし、想定外の事までも考慮するべきなのです。