危険な活断層ー2


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危険な活断層ー7危険な活断層ー8
2011年6月、政府の地震調査委員会は双葉断層(宮城県、福島県)と立川断層帯(埼玉県、東京都)、糸魚川―静岡構造線活断層帯の牛伏寺(ごふくじ)断層(長野県)について、将来の地震発生確率が高まる可能性がある、と発表。
東日本大震災による地殻変動の影響で、国内の主要な断層帯で地震を起こしやすくなったかを推定。双葉断層は、宮城県亘理町から福島県南相馬市にある断層。予測では地震規模はマグニチュード(M)6.8~7.5程度。M6.9の地震で、福島県沿岸部で震度6強以上の揺れが想定されます。ただ、現段階で30年以内の地震発生確率は、ほぼ0%と予測されています。
また、2011年6月、長野県松本市で震度5強を観測した地震の震源は、国内の活断層の中でも地震の発生確率が高い「牛伏寺(ごふくじ)断層帯」から3~4キロしか離れていません。
国の地震調査委員会では、この断層帯を含む地帯で30年以内にマグニチュード8級の地震が起きる可能性を14%と評価。そのうえ、東日本大震災で日本列島に加わる力が大きく変化したことから、「地震の発生確率は高まっている」との見解を出しています。
2012年1月、東京大学大気海洋研究所の研究チームは、東海、東南海、南海地震が想定される太平洋・南海トラフで、過去に複数の震源域で津波地震を発生させた巨大断層を発見しました。

南海トラフでは、過去の地震の研究から五つの震源域が想定されています。研究チームが海底の地形や地下構造を分析した結果、潮岬を挟んで東西200キロ以上にわたり、海底が数百メートル以上も隆起し、プレート境界から枝分かれした巨大断層があることが判明したのです。

1944年の東南海地震では、この断層の一部が動き、津波の発生源となったことが分かっています。
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危険な活断層ー9危険な活断層ー10
2012年4月、静岡大学の調査では、富士山の西側を走る「富士川河口断層帯」が、従来の調査結果よりも1・5倍長く、約40キロ・メートルに及ぶことが、わかりました。

調査では、最近1000年以内に生じた2~3メートル以上のずれが見つかり、1854年の安政東海地震の際に連動して動いた可能性があるとみています。長期の評価では、この断層帯が東海地震と連動してM8程度の地震を起こす確率は、30年以内で最大18%としています。ただ、単独でもM8程度になると指摘しているのです。
2012年5月、文部科学省は、富士山の直下に活断層が存在する可能性が高いと発表。これは、文科省が実施した3年間の調査で判明したもので、東山麓の静岡県御殿場市などで大規模災害の恐れの可能性を指摘。
調査報告書によると、数十万年前以降の火山噴出物の地層を動かした形跡があり、活断層の可能性が高いと分析。北東-南西方向に伸びる長さ約30キロの逆断層で北西に傾斜しており、 下端は富士山直下の深さ十数キロと推定。
マグニチュード7級の地震を起こすとみられ、揺れで東斜面が崩壊し、大量の土砂が雪崩のように下る「岩屑(がんせつ)雪崩」や泥流が発生する恐れがあ と結論付けています。
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危険な中央構造線断層帯隠れた活断層
2017年12月、政府の地震調査委員会は「中央構造線断層帯」の西の端が大分県まで達しているという新たな評価を公表しました。
これまで近畿から四国北部を通って四国の西の伊予灘に達し、全長はおよそ360キロと考えられてきました。しかし、最新の研究で、伊予灘の海底にある活断層と大分県の別府湾から由布市にかけてのびる活断層がほぼつながっていることがわかったのです。この結果、全長はおよそ440キロとなったほか、全体を10の区間に分けて評価した結果、それぞれの区間で起きる地震のマグニチュードは、「6.8程度」から最大で「8.0程度もしくはそれ以上」と想定されました。
このうち愛媛県内を通るおよそ40キロの区間は、地震発生の危険度を4段階で示す「発生確率のランク」が最も高い「Sランク」となっています。

さらに断層帯全体が同時に動くことも否定できないとしていて、この場合、マグニチュードは「8.0程度もしくはそれ以上」で、四国や九州北部、近畿、それに中国地方などの広い範囲が震度6弱以上の激しい揺れに襲われるほか、断層に近い大阪と奈良、和歌山、徳島、香川、愛媛、それに大分などの一部の地域では、震度7となるおそれがあると予測しています。
隠れた活断層を見つける方法として、これまでは航空写真などをもとに活断層の長さを確定していました。
しかし地下に断層があると、その境で微妙に重力が変わる特性を使って、地下の活断層を一定の精度で見つけ出すことが可能になり、携帯式の重力計で活断層周辺を測定、数十万分の1の重力変化がある地点をつなぎ合わせ、地形を加味することで地下に隠れている活断層の延長部分を見つけ出します。
実際地表で確実に確認できる長さが12キロの北九州市にある小倉東断層を調べると、地下部分を含め全長は20キロ以上と確認できました。
また評価の対象外の断層による岩手・宮城内陸地震を起こした活断層は、地上で分かる延長は4キロ程度でしたが、地下に大半が隠れており、30キロ以上の長さがあったことが地震後にわかりました。
そこで、政府の地震調査研究推進本部は2010年夏から全国の断層を再評価する調査に乗り出しました。
2018年9月に発生した北海道地震について政府の地震調査委員会は、震源付近を南北に延びる活断層「石狩低地東縁断層帯」とは無関係との判断をしました。今回の震源は深さ37キロなのに対し、断層帯が延びているのは深さ10~20キロ程度にとどまることから、調査委は断層帯と無関係に起きたとしたのです。
つまり、現在分かっている活断層以外にも、日本列島全体に隠れた断層があるのです。
現在の活断層地図を見ると東京都心部が少ないように見えませんか。だからと言って安心は禁物です。
なぜなら、江戸時代から現代までの度重なる開発により、今や活断層を確かめる事が出来なくなってしまったからです。東京地方も他と同じく活断層があると考えた方が自然でしょう。
2012年8月、首都大学東京などの共同研究チームが、東京都心の直下に活断層の可能性がある断層が存在するとの調査結果を発表。M7級の地震を起こす恐れがあり、本格的な調査が必要だとしました。
この断層は東京都北区田端から新宿区四谷付近までほぼ南北に延び、長さは少なくとも約7キロ。数十万~7、8万年前までの間に数回ずれた痕跡があり「数万年間隔で地震を繰り返す活断層の可能性があると。
2019年6月に山形・新潟地方を襲ったM6.7の地震は、いわゆる日本海東縁ひずみ集中帯という活断層の上で起きました。東北大地震・噴火予知研究観測センターによると、日本海東縁部は東のオホーツクプレートと西のアムールプレートの衝突域で、ぶつかり合ってひずみがたまり『逆断層型』の地震が起きやすい領域であるそうです。このひずみ集中帯では大地震が相次いでいます。1983年の日本海中部地震(M7・7)や1993年の北海道南西沖地震(M7・8)、2004年の新潟県中越地震(M6・8)、2007年の新潟県中越沖地震(M6・8)などがあります。

危険な活断層ー1 を参照にして下さい