東京都の水害想定 | 近年の水害 | ||||
2018年3月、東京都は2015年に改正された水防法に基づき、有識者による検討委員会で水害のシミュレーションし、巨大台風が東京湾岸で引き起こす最大規模の高潮の浸水区域想定を公表。1934年に高知県室戸岬に上陸した過去最大規模の「室戸台風」と同程度の台風が、東京周辺を通過したケースを想定。その結果、23区の3分の1に当たる212平方キロ・メートルが浸水する見込みです。高潮で堤防の決壊や洪水が起きた場合、海抜ゼロメートル地帯がある江戸川、江東、墨田区では広い範囲で浸水し、多くの地点で深さが5メートル~10メートル未満にまで達し50センチ以上の浸水が1週間以上にわたって続く場所もあるとしました。 最も浸水面積の割合が大きかったのは墨田区で、区の面積の99%。葛飾区は98%江戸川区は91%。北区は区の面積の39%が浸水するとされました。今回想定した規模の台風が東京付近を通るのは、1000~5000年に1度の確率と言いながらも、温暖化傾向の現在はいつ起こっても不思議だはありません。 | 2014年8月19日から20日にかけて、広島市で1時間降水量101mmという猛烈な雨が降りました。 安佐南区などでは土砂災害が発生し、死者77人、住家全壊179棟を出す被害となりました。 2015年9月台風・前線の影響で、西日本~北日本の広い範囲で大雨となり、茨城県常総市では、鬼怒川の堤防が決壊。常総市の面積の約3分の1にあたる約40㎢が浸水する被害が生じるなど、2万棟近くの住家が被害を受けました。 2017年8月30日、台風第10号が岩手県に上陸。 台風が東北太平洋側に直接上陸したのは、気象庁が統計を開始して以来初めてでした。岩手県岩泉町では、小本川が氾濫し、グループホームに水が流れ込むなど、東北・北海道の各地で死者・行方不明者27人、500棟を超える住家全壊を出す被害が発生しました。 |
荒川決壊の恐怖 | 東日本大震災津波裁判 | ||||
2017年10月、国土交通省は近年言われている荒川の堤防による豪雨での決壊につてのシミュレーションを公表。 想定では、3日間、荒川の全流域で632ミリの降雨があり、東京の中心部にも被害が及ぶ北区赤羽付近の堤防が決壊した場合を想定しています。 それによると、浸水区域は銀座や浅草、スカイツリーのある押上など観光地のほか、千代田区大手町のオフィス街、高島平の住宅地など合計98平方キロに及びます。 最大で約111万軒が停電し、約48万9000軒で都市ガスの供給が停止。また、事前の避難が全く行われなかった場合、死者は約3800人に、孤立者は浸水1日目で約90万人にも達っします。避難率が80%まで上がっても約800人が犠牲になると予想されているのです。 一度浸水すると、大部分の区域で2週間以上も水が引かなくなり、衛生上重大な問題が生じます。 地下鉄は現況での止水対策を前提とすると、最大17路線、100駅が浸水する見込みで、長期間の不通も予想されます。 | 2018年4月、東日本大震災の津波で児童と教職員計84人が犠牲となった宮城県石巻市立大川小学校の避難誘導をめぐり、児童23人の遺族が市と県に計23億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が仙台高裁でありました。 判決は、市と県に計14億円の賠償を命じた一審・仙台地裁判決を一部変更し、学校や市教育委員会の過失を認めたうえで、改めて賠償を命じました。 判決内容によると、大川小は市のハザードマップでは津波の浸水想定区域外とされ、学校のマニュアルでも津波を想定した避難行動や避難先を盛り込んでいませんでした。 震災当日、児童らは教員の指示で地震から約50分間、校庭で待機。堤防近くの小高い場所へ避難しようとして、川をさかのぼって堤防を越えた津波に襲われたのです。 判決は、事前の防災体制について市側の過失を認めませんでしたが、津波到達の7分前までに教員は予見でき、歩いて2分ほどの裏山に避難させるべきだったとして、教員らの過失を認定。14億円の賠償を命じ、双方が控訴していました。 |
水害の被害額 | 鬼怒川の氾濫被害の裁判 | ||||
国土交通省では、1961年より水害による被害額等を毎年集計しています。 2016年の水害被害額は、全国で約4,660億円となり、都道府県別では、 1位:岩手県 2位:北海道 3位:鹿児島県 となりました。
2016年8月の台風第10号により岩手県では、多量の土砂や流木を含む洪水により、低平地の大部分が浸水したことや記録的な集中豪雨により、小本川沿川の要配慮者利用施設などで逃げ遅れによる被害が発生。
2016年6月の梅雨前線豪雨により北海道の石狩川水系空知川では、堤防決壊で南富良野町の市街地が浸水し、多数の浸水が発生。熊本地震で地盤が緩んでいた熊本県内では、土石流やがけ崩れ等が発生し、九州地方の緑川水系、白川水系、六角川水系、菊池川水系の4水系6河川において反乱危険水位を超過し、筑後川水系花月川において堤防護岸が約30mにわたって損傷。 そのため2016年台風第10号による水害被害額は約2,820億円となりました。 そして被災建物棟数 約 16,000 棟 、浸水区域面積 約 10,000haと、大きな地震被害に匹敵するのです。 しかし、水害に対する国の対策は地震よりも遅れています。 2018年7月の梅雨前線による西日本の被害も大きなものとなりました。国交省の推計で1兆940億円に上り、1回の豪雨や台風による被害額としては1961年の調査開始以来、最大となりました。 水害による保証はどうなのでしょうか。住宅が床上まで浸水した場合の修繕費用には、火災保険の「水災補償」と災害救助法の「住宅の応急修理制度」などが利用できます。ただし、床下浸水はいずれも対象外になることが多いのです。 | 2018年8月、2015年9月の関東・東北豪雨による鬼怒川の氾濫で浸水被害を受けた住民らが、国の河川行政に不備があったとして3億3000万円の賠償を求めて国を提訴。 その内容としては、茨城県常総市の若宮戸、上三坂、水海道の3地区で起こった氾濫には国の責任があると指摘。 具体的には、(1)河川区域の見直しを怠り、民間事業者による砂丘林の掘削を防がなかった事(2)堤防の沈下を把握していたにもかかわらず、早急に対策をしなかった事(3)鬼怒川に流入する八間堀川の排水ポンプの操作を誤った事の3つです。 若宮戸地区では、2014年に民間事業者がソーラーパネルを設置するために、河川区域外にあった自然堤防を延長約200mにわたって掘削。 堤防高が鬼怒川の計画高水位を大きく下回ったため、国土交通省関東地方整備局は民間事業者の敷地を借りて、削られた自然堤防の上に大型土のうを2段積んで対策を講じました。 しかし、洪水時に大型土のうが崩れて浸水被害が広がったのは、自然堤防が掘削された時点で、直ちに人工堤防の建設に着手する責任があったと、国の一連の対応に疑問を投げかけました。 |
水害の恐怖ー2 も参考にして下さい