相続放棄の怖さ | 賃貸マンションの出来事 | ||||
2019年、築40年のあるマンションの場合、賃貸情報誌によると、空室は1戸とされていますが、ある調査会社が調べたところ、さらに6戸が不動産市場に出回らないまま放置された空室になっていました。 このような、一般の目には入らない空室は、これまでに調査しただけで、東京23区で5000戸に上るといいます。 この隠れた空室の所有者を追跡したところ、ある男性に合うことができました。4年前、所有者である70代の母親が地方の実家へ帰ったのを機に、部屋の管理を任されたという男性。 しかし母親は売るつもりがなく、男性も何もせずにそのままにしていたのです。これが世代交代による相続放棄です。 マンションの所有者が借金を残して亡くなった場合、財産を相続する人は、部屋の所有権とともに、借金も引き受けなければなりません。それを避けるために、相続を放棄すると、マンションの部屋の所有権が宙に浮くケースがあるのです。 あるマンションで、11階の部屋の方から、排水が漏れてくるという訴えがあり、原因を調べたところ、10階の天井裏の排水管がつまっているのではないかとの結論に達しました。 水があふれる原因となった部屋を調べてみると、70代の所有者は5ケ月前に亡くなっており、親族からは「相続を放棄したので自分には関係ない」と告げられました。 その後管理組合は水漏れに対応するため、60万円を負担したのです。 2019年4月、国のマンション調査が発表され、70代以上の世帯主が、初めて2割を超えたことが分かりました。 | 札幌市西区の宮の沢駅近くの7階建てマンションの話です。2017年3月、最上階のコンクリート製の庇(ひさし)が約30メートルにわたり崩落するという事故がありました。 幸いにもケガ人はいなかったのです。このマンションは賃貸用として1972年に建てられ、その後増築し、一番古い中央部分は築47年経っており、全55室のうち、52世帯が入居中でした。築年数が古いために、賃料は近隣相場より低くく、入居者は高齢者が多かった模様です。 築当時は東京の不動産会社が所有し、2016年8月からは大阪の呉服店を営む企業の所有となりました。 その所有者の言葉によると、不動産には詳しくなく、『いい物件がある。持ち主も管理会社もしっかりしているので心配ない』と言われて購入を決めたそうです。建物は古いので、もし自分が買えたら更地にして新築用地にしようと思っていた、とのこと。 このマンションは、建築基準法で3年に一度、市へ建物の状況等を報告することが義務づけられている「特殊建築物」であるにもかかわらず、1998年から報告が行われていないのです。しかし問題はこれからです。 立て直すことになると、現在住んでいる高齢者の皆さんに立ち退いてもらわなければならず、家賃を含め、今と同等の部屋を探す事も、所有者のやらざるを得ないことだと思いますが、すんなりと事が運ぶのでしょうか。 |
高齢化マンション問題 | |||||
2015年、東京都江戸川区にある築45年309戸のマンションの大規模修繕がありました。 このマンションでは、共用の排水管が各住戸のトイレの奥にあるため、各住戸に立ち入る必要がありました。 そこには、70代の孤独死予備軍ともいえる程の引きこもりの男性数人の存在がありました。 住宅ローンは既に終っていて、年金もあり、経済的には困ってはいませんが、妻に先立たれ、周囲との付き合いは全くないままなのです。どの部屋もゴミ屋敷状態で靴を脱ぐのもためらわれるほど。これまでも孤独死があったといいます。 外観だけは手入れが行き届いて見えるマンションですが、入居者の平均年齢は71歳。マンションの組合総会案内を認識できない人や、杖、車いすがなければ総会に参加できない人も多数います。 そのときは、委任状を含む状態ではありますが、決議に必要な過半数ぎりぎりの参加で可決出来たようですが、次回の総会自体が成立するかどうかは、疑問です。 しかも、付き合いがないだけでなく、居住者名簿もないため、居住者が所有者なのか、賃貸人なのかがわからない状態で、相続人の有無や今後、所有者不明となるケースも想像出来ます。 高齢化の進むマンションにおいては、コミュニケーション不足が問題なのです。 | 企画中 |