契約トラブルー2

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事前説明の確認が重要不利益な賃貸契約
2005年6月、Aは不動産業者Bから、土地付き新築建物を購入し9月に引き渡しを完了しましたが、Aは購入後の7月に隣地との境にあるブロック塀の控え壁が出ていることに気付き、Bに聞いたところ「昔からの申し送り事項なので」との答えでした。
2006年4月、「物件状況報告書」を見直したところ、「越境無し」と明記してあることがわかり、Aは越境物は契約時に聞いていないので除去してほしいとBに要望したところ、越境物は隣地の所有であること、撤去はするが、ブロックが倒れても一切責任は負わないとの返事でした。
それと同時に、契約書の特記事項にある地目変更登記がされていない事がわかり、登録免許税を多く払っていた事がわかりました。
そこでAはBに対して、越境物の撤去、地目変更登記不履行及び司法書士報酬の説明不足による損害として10万円、Bの威圧的言動などによる精神的損害への慰謝料338万円などを要求。加えて、汚水枡の越境及び門扉の設置が不適切であることを主張。
これに対してBは、越境物は撤去する用意はあるが、塀の倒壊等の責任は負えない事、現地で私道部分と建物の位置関係は説明しており、越境物は将来道路となる部分にあり、生活する上で支障はない事、そして地目変更登記は、直ぐに対処する用意があり、解決策として、本物件を売却価格で買戻すことも検討する、と主張しましたが、折り合いが付かず紛争となりました。
調停委員はAに対して、要求のような多額の慰謝料請求は難しい点をよく説明して説得したところ、Bの誠意ある対応が約束されればAは慰謝料の請求はしないとの結論に達しました。
結果、調停委員からBに対して、ブロック塀の控え壁の撤去、汚水枡の撤去、門扉の移動についての工事方法提案を要請し、提案内容についてAも納得したため、和解が成立。
大きな金額が動く契約の時は、時間をかけてでも、契約以前に徹底的に質問をするべきなのです。
1996年3月、Aはある賃貸住宅をBとの間で賃貸契約をかわしました。そして2004年3月に賃貸契約の更新をしました。
2004年7月には住宅の所有権がBからCに替りました。
2004年9月、Aは賃貸契約を終了し、Cに対して預け入れた敷金13万円余の支払を求めました。
Cは、2002年の更新契約において、汚損や破損による損害を賠償する義務事項があり、また、2004年9月に原状回復に関する費用負担の合意があることから、実際の原状回復費用18万円余をAに請求。
敷金の13万円余では足りないので、残額4万円余の支払いをAに求めました。
Aは不服を裁判所に申し立てたのです。2005年11月東京簡易裁判所の判決があり、Aの勝訴となりました。
判決内容は、賃貸住宅使用の対価である賃料を受領しながら、賃貸期間中の自然損耗等の原状回復費用を借主に負担させることは、借主に二重の負担を強いることになり、貸主に不当な利得を生じさせる一方、借主には不利益であり、信義則に反し消費者契約法10条に該当し、無効である、との判断でした。
たとえ賃貸借契約書に自然損耗等に係る原状回復義務を借主が負担すると定められていても、借主に必要な情報が与えられず、自己に不利益であることが認識できないままされた合意は、無効であるとしたものです。


事前説明の重要性投資家がハマる融資
ある新規分譲マンションの不動産会社Aはペット飼育禁止のマンションとして販売。
マンション管理組合が設立されたのちに、既にペットを飼育している入居者については、現在飼っているペットが一代に限り飼育を認めることが決議され、管理規約案にペット飼育の禁止条項が追加されました。
ところが、ペット嫌いの購入者Bに対して、不動産会社Aは「ペット飼育禁止」と説明し又、ペット好きの購入者Cに対して、不動産会社Aは「ペット飼育可能」と異なる説明をし、B及びCは入居を決めたのです。
ただ、それぞれ入居後、B及びCは苦痛を味わう事となり、Aを相手に裁判所に損害賠償請求訴訟を起こしました。
結果、裁判所はB及びCの請求を認め、Aに5日間の業務停止処分を言い渡したのです。
裁判所の見解は、買主にとってペットの飼育ができることがマンション購入を決める重要な要素であることを十分に承知し、分譲開始当初にマンションを購入した者からペット飼育についての了解が得られていないことを認識していたにもかかわらず、そのことを告げずペット飼育ができるマンションとして販売したとしての処分でした。
マンション販売の営業マンにとっては、数値目標がすべてであり、目の前の成績が営業マンの評価そのものです。ですから、とりあえずの数値だけにしか頭が回らず、の結果なのでしょう。
マンション購入時に受ける説明は、数人の関係者からの聞き取りが重要です。
マンション開発業者「コーセーアールイー」は、2016年から2018年の間に、銀行へ提出する源泉徴収票などに記載されている収入の額を100万円程度引き上げたり、中古物件の入居者から徴収している賃料の数字を書き換えたりと、改ざんしたのです。
2019年12月、ローン申請書類の書き換えの疑いが発覚したと発表。改ざんの目的として考えられるのは、与信の低い顧客に物件を購入させることです。
金融機関が住宅ローンの融資額を決める基準の1つに「年収倍率」があります。顧客の年収を100万円上げれば、年収倍率が5倍なら借り入れ金額は500万円、10倍なら1000万円増加し、購入できる物件の幅も広がるのです。
ただし、投資家の債務不履行リスクを高める事になります。
値頃さが売りだった区分マンションですが、土地代や建築費の高騰を受け、2019年までに、価格は上昇して行きました。
資産に乏しい投資家にとっては、物件の購入が難しくなりつつある時でしたので、飛びついたのでしょう。
2018年8月に発覚したアパート建設業者「TATERU」による融資書類の改ざんもありましたが、同じような手口の誘惑についついはまってしまうのでしょうか。


売買契約解除地中埋設物の契約違反
新築マンションの購入を決定したAは、不動産業者Bとの売買契約を締結しました。ですが、Aの会社の転勤が突然決まり、Bに手付金の放棄による契約解除を申し入れました。しかし、Bは「工事が進んでいるので手付解除には応じられない。違約金を支払ってもらう」との回答でした。
不動産会社が売り主である、不動産売買については、手付金は「解約手付」とされ、売り主である不動産会社が契約の履行に着手する前であれば、買い主は手付金を放棄することで契約を解除できるのです。
Aが手付けによる解除をする場合には、その時点でBが「契約の履行に着手しているかどうか」が問題となります。
契約の履行に着手しているとは、過去の最高裁判所の判例によれば、買い主の希望する建物を建てるために建築材料を発注したときや建築工事に着手した時、或は、分譲マンションで買い主の希望する間取り変更工事に着手した時などです。
しかしながら、分譲マンションや、大規模な分譲住宅の場合で、売り主が当初の建築計画に基づいて工事に着手した場合などは、履行の着手には該当しないと考えられます。
もし履行の着手がなされているのであれば、契約書に定める違約金を支払う事になります。
2012年、AはBから土地及び土地の借地権を更地状態で 売買する契約を締結。そしてBは建物の解体工事をCに発注。2014年解体 工事が終了したとしてBはAに土地を引き渡しました。
その後Aは不動 産業者Dに転売。しかしDは新築工事の際に地中から地下室が発見さ れたことから、地下室や解体ガラが地中に 残置されていたとして、A及び解体工事請 負業者B、Cに対して、その撤去・処分費用の支払 いを求めました。
これに対して、Bは地中の異物をすべて撤去すべき義務を負っていないとし、さらにCは建物の解体工事を完成させており、地中障害物を埋め戻した事実はないと反論。さらに土地は、戦時中、防空壕として利用されていたことがあり、地中障害物は防空壕の一部であった可能性があると反論しました。
しかし裁判所の判断は、Dの請求を認めました。
理由として、解体撤去の対象となる建物には地下室が含まれる旨が明記されている事。そして Bは、地下室を含め、各建物を撤去すべき義務を負っているもの と認められる、としました。そしてCは、地中障害物を完全に解体撤 去せず、建物の鉄筋及びコンクリートガ ラとともに土地に埋め戻したものと認め られる。そして、Cは地下室を含めた建物を完全に解 体撤去すべき義務を履行しなかったことにつ いて債務不履行責任を負う、と結論。
Aは、Dに対してに解体撤去費用等としての賠償請求1472万円余を支払いました。
  契約トラブル も参照して下さい

火事の原因ー3

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アロマオイル火災危険な寝たばこ
東京消防庁では2008年から2012年の5年間だけで、アロマオイルが付着したものを洗濯乾燥機で乾燥させた事による火災が26件も発生しています。中でもエステサロンからの火災が4割近くを占めています。
原理としては、タオルの繊維の隙間にまで染み込んだアロマオイルは、普通に洗濯しても水には溶け出さず簡単には落ちず、そのまま乾燥機にかけるとタオルに染み込んだアロマオイルが乾燥機の熱風で酸化し、高温な酸化熱を発生するからです。
そして洗濯乾燥機内で高温となった酸化熱は、洗濯乾燥機の中でタオルなどに熱をどんどん蓄積しながら最終的に自然発火し火災に至るのです。
例としては、不飽和脂肪酸を含んだアロマオイルが染み込んだままの衣類を、洗濯・乾燥させた直後に合成樹脂製のかご内に入れて放置した事で発火し火災に至りました。
2011東京都葛飾区内のエステサロンで11月下旬の深夜、閉店後の無人の店内から出火し、火元近くの乾燥機と壁の一部が焼けるボヤが起きました。消防署の担当者は、スプリンクラーが作動しなければ燃え広がってもおかしくなかった、との事。同署の調査で、火元は乾燥機前の洗濯かごに山積みになっていたタオルと判明。
タオルにはアロママッサージで体に塗るなどしたオイルの成分が付着して残っており、従業員が乾燥機から出して帰宅した後、油の酸化で温度が上昇して約90分後に自然発火していたのです。
ボディケア用のオイルや食用油、作業服の機械油などもそうなのです。洗濯したと思っていても、水と普通の洗剤で洗っても、油は落ちずに洗濯物へ残っていることがほとんどなのです。そのままで乾燥機を使い高温で乾燥すると悪い結果になります。
一般家庭ではサラダ油なんかが付着しやすいし、レンジフードのフィルターや油を処理したキッチンペーパーが自然発火した事例はよく報告されています。
2019年度、東京都内でのたばこの不始末による火災の死者が35人に上り、過去10年で最多だったことが東京消防庁のまとめで判明し、2020年6月23日発表しました。
半数近くは寝たばこが原因とみられています。寝たばこの火災は、火が布団などに引火しても炎が出ない無炎燃焼を引き起こす場合があり、最初は煙がほとんど上がらず火災に気付きにくいので、注意を呼びかけています。発見が遅れると、一酸化炭素中毒で体が動かず避難できないまま死亡してしまうことがあるそうです。
消防庁が8畳程度の部屋で行った再現実験では、発生の約30分後には寝ている人の口元の一酸化炭素濃度が運動能力を失うほど高くなりました。
消防庁の担当者は「特に飲酒後の寝たばこは火災に気づくのが遅れることが多い」と注意を促しています。
消防庁によると、2019年住宅火災で亡くなったのは83人(前年比17人増)でした。
約4割の35人(同9人増)がたばこの不始末が原因で、うち寝たばことみられるのは16人(同9人増)でした。たばこが原因の火災死者数は2015年が16人(うち寝たばこ疑い8人)、
2016年11人(同3人)、2017年18人(同10人)、2018年26人(同7人)でした。

火事の原因 火事の原因ー2 も参考にして下さい

都市のスラム化ー2

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秋田の苦悩住宅総量コントロール
2019年7月総務省発表によると、人口減少率で最も高かったのは秋田(1.48%)で、出生数から死亡数を差し引いた「自然増減」の減少率も1位は秋田で1.03%でした。
また、2018年10月現在で65歳以上の高齢者の割合が36.4%と第1位。
また2017年4月時点で100万人を割り込んだ秋田県の人口ですが、2045年には60万人まで減少する見込みなのです。その時点で65歳以上人口も50.1%と全国で唯一50%を超える予想。75歳以上も31.9%となるようです。
そのため税収は減る一方で、集落が点在しているとインフラの維持管理にも費用がかさみます。人口が減ると商用施設もなくなる可能性もあり、労働力不足、耕作放棄地の増加、空き家など、問題は多くを残します。
そして2040年になると40歳までの人口が極端に少なくなり、つまり不動産を求める人が極端に減るのです、相続した物件が徐々に市場に出回り、価格を押し下げる可能性もあります。
現在秋田駅前の商業施設は維持しており、人の動きがあるものの、そこから少し離れると非常に寂しい状況です。JR秋田駅から徒歩数分以内ですが、数多くのテナント募集物件(オフィス空室)、シャッターが閉じた店、寂れた建物があります。
例えば駅から徒歩5分ほどの老舗の百貨店。百貨店と名はつくものの、売り場は1階のみで衣料品と化粧品だけで、営業は週休2日(水・木)で、夕方5時に閉店。夜になると、秋田駅前の大通りも人影はまばらになるのです。
秋田県は地形上、山が多く可住地は全体の約1/4と少なく、海岸部の平地と内陸部の盆地を中心に都市が分散している状況です。そのため、平均都市間距離は東北平均よりも長く、関東地方の約2倍となります。
また、県全域が豪雪地帯に指定され、そのうち52%は特別豪雪地帯であり、冬期に通行不能となる 路線が多いほか、速度低下、交通事故など、安定した交流・連携が妨げられているのが特徴ですから、問題解決はかなり厳しいでしょう。
東京都中央区では、タワーマンション中心の再開発を進めて来た結果、人口は20年程で倍増しました。
人口急増の結果、駅のホームは人であふれ、学校や保育所の不足問題も明らかになってきました。暮らしへの影響に深刻さを感じた中央区は住宅に対する方針の転換を開始。ひとつの方策として住宅の容積率緩和の廃止を決定しました。
総務省統計局によると日本の人口は2005年の1億2808万人をピークに減り始めています。2045年の日本の総人口は約1億642万人との予想が出ています。にもかかわらず、今なお新築住宅の戸数はあまり減っていません。
国土交通省が発表した2019年の新設住宅着工戸数は、90万5123戸。なぜ人口が減少に転じているのに、新築住宅着工戸数は減っていかないのでしょうか。
現在、日本では住宅供給を直接的に抑制する法律はありません。戦後40年間続けてきた「住宅建設法」により住宅は造り続けたのですが、2006年3月に廃止にはなりました。
しかし今後の数値目標は策定されていない状況です。
欧米では「都市計画」で住宅供給数を行政がコントロールしている国や市などがありますが、住宅供給を規制していない日本では、住宅を「つくりたければつくれる」ので、民間が住宅供給を主導している以上、住宅を「つくれる場所があればつくる」という状況です。住宅総量のコントロールをしていないのは、先進国では今、日本だけなのです。
この事が、日本の中古住宅市場が活性化しない理由だともいわれています。
日本では将来、大都市でも「必ず」人口は減り始めます。このまま住宅をつくり続けると、必ず住宅の供給過剰状態に陥る事になります。
地価の下落、空き家の激増等、さまざまな問題を引き起こしてしまうでしょう。
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危険な地震ー2

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地震データーねつ造事件
2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震を観測していた大阪大の秦吉弥・元准教授が地震計による観測データはねつ造である事を、2019年3月大阪大は発表。
捏造があったのは、熊本地震の本震や東日本大震災の余震などの観測データです。熊本地震の時、秦元准教授らは2016年4月14日の前震の後に現地入りし、熊本県益城町に臨時の地震計を設置して観測を開始。16日の本震では計測震度「6、9」という特に大きい揺れで、多くの木造住宅が倒壊する要因になったと報告。
しかし大阪大は、地震計を固定するために必要なアンカーが使われた形跡がない事や、観測によるデータそのものが確認出来ない事などにより、捏造だったと認定。
他に1995年の阪神大震災や発生が懸念される南海トラフ巨大地震などに関する17本の論文で捏造などが疑われる事も明らかにしました。
ただ気象庁は元准教授のチームとは別の観測結果を基に熊本県益城町の本震の揺れを震度7としており、今回の捏造による影響はない、としています。
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日照権トラブルー2

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日照権事件裁判例
1994年Aは売主業者Bから中古マンションを4500万円で購入。Aは日照が保障されることが願いでした。Bの説明では、隣地に計画している建物がありますが、着工するには購入した中古マンションの区分所有者の承諾が必要である事を伝えました。
実は、隣地の建物説明会は7月5日に行うとBは承知していましたが、Aにその事は説明しなかったのです。結果、隣地建物は1995年2月に完成し、中古マンションにおける日照は1日30分程度となってしまったのです。そしてAはBが虚偽の説明をしたとして、損害賠償を求めました。
平成10年9月東京地裁判決はBはAの売買代金、諸費用、借入金利息等及び弁護士費用、計5,276万円をXに支払を命じました。
判決内容は、Bが中古マンションの区分所有者の同意がなければ隣地に建物を建築することはできないと説明したと認定したのです。中古マンションの将来の日照が確保されることが契約の要素となっていた事を重視したのです。
企画中

日照権トラブル-1 も参照してください

欠陥建物事例ー4

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危険な階数水増しー2浸水マンション裁判例 
大阪府池田市の賃貸マンション「マテリアル菅原」は、建築確認申請を民間の指定確認検査機関ジェイネットに提出。
その後2度の中間検査を受け2012年7月の完了検査時、7階建てにもかかわらず、現状は9階建てになっていたために検査済証を交付しませんでした。
その後検査機関は、建物の正確な図面や構造計算書などを提出するように求めました。
しかし工事完了後、建築主は入居者を入れたのです。
検査機関から報告を受けていた市は、2013年8月建築基準法に基づく是正措置命令書を送付。建築主は違反建築物であることは認めたものの、そのまま所有権を兵庫県宝塚市の女性に譲渡。
2015年10月、市は女性に対して命令書を送りましたが、具体的な行動は無いままでした。措置命令にマンション所有者が応じないため、市は是正措置命令を公告する「赤紙」をマンション入り口付近に掲示。
2016年10月に是正措置命令を出しました。2018年8月、結果7階建てに“減築”されました。
市は最終手段として、悪質な違反建築物は是正工事を行う行政代執行を実施する事も出来ますが、今回は建築基準法違反の容疑での刑事告発を視野に入れていたのです。
2019年の台風19号浸水被害に遭遇したマンションがありましたが、これは、以前の浸水マンションの裁判例です。

Aは、売主業者から、新築マンションの1階2室を購入し、1995年に引渡しを受けました。
本件マンションでは、しかし1996年9月、一階部分の各室に、床下浸水等の被害が発生。1997年7月にも、本件マンション一階部分の数室に床上浸水の被害が発生し、その後も、規模、被害の程度はあるものの、年に一回以上浸水被害が発生していました。
そのためAは、設計・監理会社にたいして損害の賠償を求めて提訴したのです。その理由は、基礎杭の安全性に欠陥、構造計算上建築確認と異なる建築工事が実施されている欠陥、一階部分に毎年のように浸水被害が発生する欠陥として、また売主業者には債務不履行責任、瑕疵担保責任、不法行為責任などを揚げたのです。
裁判の判決内容はつぎの通りになりました。杭長、構造に対しては証拠がないので、これを直ちに違法、または、建物として通常有すべき安全性に欠けるとは認められない。マンション完成直前に、一階部分に浸水する事故が発生した時に売主業者は、玄関に防潮板を設置したが、近隣にある類似のマンションでは、盛土をしていることが認められる。本件浸水被害は、浸水し易い状態なのに、盛土もしないで建築されたためであって、欠陥があるといわざるを得ない。
この欠陥は、売買契約の目的物の隠れたる瑕疵というのを妨げないから、売主業者の瑕疵担保責任を認め得ることが明らかである。
したがって、住居として使用するという目的を達成することが不可能であるから、Aは、瑕疵担保責任に基づき、本件売買契約を解除することができるというべきである、との理由でした。
結果Aが被った損害は、本件売買代金、購入費用、修補に関する費用及び調査鑑定、弁護士費用、慰謝料でした。


大臣認定品の不使用杭工事の施工不良
2019年8月、アパマンションに建築基準法違反のおそれがあるとして、国土交通省から、旭物産株式会社に対して、当該大臣認定品として製造し、納品した出荷先の報告を求めました。
2020年3月、旭物産株式会社はアパ建設が施工した物件であるとの報告をし、2002年から2005年に建設したマンションのうち、21棟で旭物産株式会社が製造・出荷した防火サッシに建築基準法違反のおそれがあるとの報告を国土交通省にしました。
アパマンション株式会社は、今後、対象となる物件の管理組合に速やかに連絡をし、建築基準法令に適合させるための改修を行う方針である事としました。
問題はサッシのカ硝子部分が問題でした。現実的には火災に対して問題はないかもしれませんが、国の認定品を使用していないと、建物自体に対して、国や自治体の保証が取れません。価値の無い建物として扱われます。
ですから、新しい技術を開発すると、自費で国の認定をとるために試験をして、認定を獲得しています。
建物に問題が起きた時、認定品を使用していれば、或は建築基準法を順守していれば、建物自体の責任は免れるのです。
1995年竣工した福岡市の「ベルヴィ香椎六番館」。実は、入居開始直後から外壁のひび割れや玄関扉の枠の歪み、建物の傾斜といった不具合があり、売主のJR九州に訴え続けてきたのです。
施工業者の若築建設などはその都度、「構造耐力上主要な部分に問題はない」「設計図書通りに確実に施工している」などと説明。
そこで2019年、マンションの管理組合は特定行政庁の福岡市に相談。ところが図書保存義務が過ぎており資料がなかったため施工の不備かどうかを判断できないと、責任逃れの回答でした。
2020年3月管理組合は、東京の調査会社に依頼。建物の歪み調査とボーリング調査を実施したところ、基礎杭が支持地盤に到達していなかった事がわかりました。
この結果を受けて若築建設も調査を実施したところ、同様の結果が出たのです。建物の杭は全部で29本ですが、支持地盤に到達していない杭は2本判明していました。
調査会社によると、10本程はあるのではないかとの判断です。
2020年5月JR九州など3社は施工不良を認めて管理組合に謝罪しました。
調査会社としては、建築工事中に初期沈下を起こしており、造作工事で調整している跡があることから、傾斜を承知しながら販売していたのではないかとの判断です。そして、施工業者にはJR九州が筆頭株主である九鉄工業㈱がJVとして参加していたのです。
欠陥建物事例ー1 
欠陥建物事例ー2
欠陥建物事例ー3 も参照してください

水害の恐怖ー2

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不安なスーパー堤防河川の氾濫
大都市を水害の被害から守るべきスーパー堤防が東京の江戸川で行われています。整備計画の規模は当初、延長が870kmでしたが、民主党政権の事業仕分けを経て2011年に約120kmに縮小。
その後一部の工事が終わり、共同事業者として区画整理を進める東京都江戸川区が地権者への引き渡し直前の2017年2月、地盤の品質確認のため土地の強度を測るスウェーデン式サウンディング試験を実施。所が強度不足という大きな問題が持ち上がりました。
強度不足があったのは北小岩1丁目東部地区のスーパー堤防とみられます。そのため地盤の補強工事が必要になり、引き渡しの期限が半年遅れて2017年9月末となったのです。
工事担当の関東地整は事前に盛り土で地盤に荷重をかけ、沈下を促進させる工法で強度を確保できると見込んでいましたが、実際は想定以上に地盤が軟弱だったのです。
造成後に地盤強度を調査せず、調査の時期や方法について江戸川区とあらかじめ十分に協議することもなかったのです。関東地整が今後スーパー堤防の整備を計画する地域は、約3割が木造住宅の密集地帯。宅地の品質が安定しなければ地権者の同意を得ることは難しく、整備の進捗に影響が及ぶことから、事業の進め方を見直すことにしました。
スーパー堤防の事業が始まってから、30年になりますが、本来の断面形状ができたスーパー堤防の整備率は対象の5河川全体でわずかに2.9%です。計画通りに整備が終わるまで、何百年という年数が必要になるのです。
最近の、水害が多発している今こそ必要とされているのにも関わらず、前途多難です。
2019年10月、大型の台風19号が伊豆半島に上陸し、神奈川県箱根町で48時間に降った雨の量が1000ミリを超えるなど、東北や関東甲信越などではわずか1日から2日の雨量が年間降水量の3割から4割に達する記録的な豪雨となりました。
そのため各地で川の氾濫や土砂災害が発生しました。
主な川の氾濫箇所は、宮城、福島県の阿武隈川。宮城県の吉田川。埼玉県の入間川。新潟、長野県の千曲川。栃木県の秋山川。東京、神奈川県の多摩川。など20を超える河川において河川の氾濫が発生しました。
この多摩川においては、1974年9月台風16号により堤防が決壊し、狛江市の民家19戸が流出。その後、家を失った住民らが多摩川を管理する国を相手に損害賠償請求の訴訟を起こした。
一審は原告の住民が勝訴。控訴審は国が勝訴したが、上告審で破棄差し戻しとなり、1992年、東京高裁差戻控訴審では住民が勝訴したという過去がありました。
いずれの川沿いも、住んでいる所は川の水面と同じ0メートル地帯なのです。いかに危険な場所に住居を構えているのかが解ります。



最悪の台風九州豪雨
2019年10月「過去最強クラス」の勢力で関東・東北地方を襲った台風19号。浸水面積は2018年の西日本豪雨を大幅に上回り、2万5000haを超えました。東京都や神奈川県でも、多摩川流域に多くの建物が浸水し、都市水害の恐ろしさを日本国中に知らしめたのです。

台風19号西日本豪雨
2019年2018年
死者・行方不明者99人232人
住宅全壊1491棟6767棟
住宅半壊5400棟1万1243棟
床上浸水3万3425棟7173棟
床下浸水3万7358棟2万1296棟
堤防の決壊71河川、140カ所26河川、37カ所
土砂災害748件2581件

堤防の決壊数」は、西日本豪雨をも上回ったのです。
2020年7月の豪雨災害は九州をはじめ全国11県に大きな爪痕を残しました。
特に九州を襲った記録的な豪雨は、死者70人以上、浸水1万棟以上、農産物総額158億円という甚大な被害を被りました。
大分県日田市では、72時間の降水量が862ミリを記録。そして浸水被害も大きく、熊本県の球磨川流域にある人吉市街地の浸水は最大で4・3メートルに達したのです。
この豪雨で出された『大雨特別警報』は50年に一度あるかないかというレベルを超える大雨が長時間続くようなときに出るものですが、運用から7年の間に4回出ているのが福岡と長崎。3回が佐賀と沖縄。2回が計6府県にのぼります。
近年語られている、気象レーダーによる線状降水帯が豪雨の特徴ですが、これはレーダーの性能が昔より格段に良くなったからであり、昔もあった現象なのです。
今回も問題になりました避難所の浸水。ハザードマップに頼らずに、避難所の安全な位置の確保が求められます。


岡山真備町水害低地売買の説明義務裁判
2018年6月から7月にかけ、梅雨前線が停滞。この前線と同時期に発生した台風7号の影響で、日本付近には暖かくて非常に湿った空気が供給され続け、結果として広い範囲で記録的な大雨がもたらされ、大災害につながりました。
特に被害が集中したのは広島や岡山、愛媛であり、それぞれが甚大な被害となりました。死者
237人となり、岡山県66人、広島県92人、愛媛県31人でした。
中国電力と四国電力では停電被害が相次ぎ、中国電力で最大約58,700戸、四国電力で16,600戸、ガスや高圧ガス、LPガスでも一時供給ができなくなる事態になりました。
水道についても全国18道府県80市町村において最大263,593戸の断水が確認されています。
岡山県は倉敷市真備町に雨が集中するなどの特徴があり、真備町だけで51人もの命が奪われることとなりました。これはハザードマップで示された想定浸水区域に住んでいた人々であり、予め避難指示が出ていたにも関わらず、それだけの死者を出してしまう結果となりました。
2020年7月、倉敷市真備町の住民5人が2018年の西日本豪雨で浸水被害を受けたのは河川やダムの管理が不十分だったなどとして国や県などを相手取り約9100万円の損害賠償を求める訴えを岡山地方裁判所に起こし、2020年4月に住民32人が同じような訴えを起こしていて今回で2回目の提訴です。これで原告は37人になりました。
 原告は国、岡山県、倉敷市、ダムを管理する中国電力に合計約7億3000万円の損害賠償を求めています。
原告側は、新成羽川ダムの事前放流量が不十分だったことや高梁川と小田川の付け替え工事が先送りされたことなどが重なり、被害が拡大したとしています。真備水害については、事前に予期し得たものであって相当な準備さえしておれば未然に防ぐことができた人災であるものと主張。
Aは1998年、建売業者から土地を購入。ただその時売主からも、媒介業者からも、その土地や周辺の雨水の排水状況等について、特に説明はありませんでした。
そこでAは、購入した土地には、大雨のときなど容易に冠水し、宅地として使用することが出来ない隠れた瑕疵があり、売買契約の際、売主からその説明を怠ったことは債務不履行(説明義務違反)に当たるなどと主張して裁判所に提訴。
結果、一審の地方裁判所はAの請求を棄却したため、Aは東京高裁判所に控訴。
2003年、判決としてはAの請求は棄却されたのです。
判決理由としては、地盤が低く、降雨等により冠水しやすいような場所的・環境的要因からくる土地の性状も、その土地の経済的価値に影響が生じることは否定出来ないものの、冠水被害があることは、付近一帯に生じることが多く、付近一帯の価格評価の中で吸収されているのであり、それ自体を独立して、土地の瑕疵であると認めることは困難である。よって、売主の瑕疵担保責任を認めることは困難である事。
又、売主である宅建業者は、売買契約に付随する信義則上の説明義務を負いますが、売主である宅建業者が、土地の性状に関する具体的事実を認識していない場合にもその説明義務があるというためには、そのような事態の発生可能性について、説明義務があることを基礎づけるような法令上の根拠、あるいは業界の慣行等があり、また、そのような事態の発生可能性について、業者の側で情報を入手することが実際上可能であることが必要であると解されます。
土地に接する道路に雨水が貯留しやすく、それによって土地の一部が冠水するという土地の性状について、宅建業者を含む販売業者に説明義務があることを基礎づけるような法令上の根拠や業界の慣行等があるとも認め難いから、売主には土地の性状についてAに説明すべき義務があったということはできないとの結論です。
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危険ながけ地ー2

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空洞が危険危険な崖地の工事
2019年8月、福島県いわき市鹿島町の県道沿いで突然岩山が崩れました。幸いにも民家もなく道路での事故も無く済みました。
県の調査では、岩盤の経年的な劣化・風化が原因との見解を発表しました。
その後、国交省は国土技術政策総合研究所の深層崩壊対策研究官ら土砂災害専門家4人を派遣して、調査を行いました。
結果、現場の岩盤は風化しやすい凝灰質砂岩。崩落した岩は亀裂に雨水が染み込んで黒くなったとみられる跡があり、表面の風化も進んでいた事。
また、岩山には戦後まで住宅部材の石切り場として使った空洞があり、空洞も崩落に影響したとの事。
つまり、東日本大震災の影響で亀裂が入った可能性もあり得るとの事です。
ですから、空洞のあるがけ地盤などは、今後も小さな地震でも崩れる可能性がある事があるのです。
横浜市南区堀ノ内町の、以前から崩落事故が発生していた崖地を、市が法枠と擁壁を設置し、崖の上部には崖を上がった所に住む市民用の簡易な歩道を設けてありました。
そこに地下車庫付きの5棟の木造住宅を建築する計画があり、工事では、それらを撤去して崖を高さ11m以上削り、高さ約7.5mの土留め壁と地下車庫を持つ住宅を建てるという難しい計画を立てていたのです。
2008年に工事が始まり、市は工事前に崖を削る際の山留め工事計画書の提出を求めまた。
しかし工事会社は山留め工事計画書を出さないばかりか、土留め自体をも怠ったのです。その状態で南端の宅地にあった既存擁壁を壊した結果、背面の斜面の一部が崩れる1回目の崩落が2010年4月に発生。
2度目の崩落はその5カ月後に起こりました。法枠ごと斜面が崩れたうえに、崖上で隣接する住宅の土留めが落ちたり、下水道管が破損したりしました。
事態を重く見た市は、事業主と工事の元請け会社に最初の是正措置命令を提出。しかし15年4月3回目の崩落が発生。
2回目に崩れた崖をロックボルト工法で補強し、4棟目の地下車庫の工事を終えて土留め壁を施工している最中でした。ここでも市が認めた山留め工事計画書と異なる方法で法面を掘削し、崩落を招いたのです。
度重なる事故を受けて、市は事業主と工事の元請け会社に、法面のすべり防止工事の計画を改善するよう求めました。2社は計画書を何度か提出し直したものの、市は工事再開を許可できる技術水準に達していないと判断。
さらに、書類にも不備があるとして、2回目の是正措置命令と戒告を行った後、市は2018年12月、建築基準法違反を理由とした初の行政代執行を決行。戸建て住宅の建築現場において、法面のすべり防止工事を始め2019年内に完了。

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悩み多きマンション管理ー2

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悩ましき修繕積立金機械駐車場が足かせ
2018年現在、東京の湾岸エリアで販売が始まった大規模開発では、管理費修繕積立金の合計が1平方メートルあたり400円台の後半に設定されていて、例えば85平方メートル程度の住戸では月額負担は4万円前後となります。これに固定資産税都市計画税を合わせると、その住戸を維持するためだけのコストは1平方メートルあたり800円を超えそうです。
ここから修繕積立金が値上げされることを想定すると、将来は1000円に達する可能性もあるのです。
マンション管理の面でも、人手不足が深刻です。ですから販売物件の予定管理費と修繕積立金が目に見えて高くなっています。
2015年前後の管理費は月額にして1平方メートルあたり200円が相場でした。
都心だと、300円程度。郊外の低価格エリアでは150円前後に設定されていました。大規模マンションの修繕積立金は、1平方メートルあたり月額100円から150円前後でスタートして、徐々に上がっていき、20年後には250円から300円前後まで引き上げる長期修繕計画が多かったのです。
新築引き渡し時のこれらの月額負担を、1平方メートル300円から350円程度にとどめると、70平方メートルの住戸でも月額負担は2万円台前半に収まるので、家計への負担感は軽く見え、その方が売りやすいので、修繕積立金は低めに抑えるのが通例でした。
国が全国のマンション管理組合を対象に行った調査によると、25年以上の長期修繕計画に基づいて修繕積立金を算出している組合が半数を超えています。また1戸当たりの修繕積立金の額も増加傾向が続いていることが分かります。
若者のクルマ離れと、高齢化が進みクルマを手放す住民が増える事により、マンションの機械駐車場で空きが目立ち始めているます。その影響は今後迎えるであろう大規模修繕計画に大きな打撃を与えます。
まず、駐車場収入を月々の管理費に充当されているマンションは多く、将来の機械駐車場の更新費用不足となるでしょう。
そうなれば、住民1戸当たりの一時金が必要になる事が必死でしょう。
ただ、クルマを所有していない住民には、駐車場が空いているかどうかは気づきにくいため、自分たちの問題に直結していることに思いが至らない人も多いでしょう。
あるマンションでは、駐車場分だけでなく全体の修繕費が不足していたため、修繕費の値上げを訴えましたが、「まだ先の話」と、値上げ案は却下されてしまった例もあります。
規模が大きなマンションとなると、各地方自治体による、「付置義務」が大きな足かせとなっている面もあるのです。
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困難な給排水管補修無関心居住者の悲劇
1980年に竣工した東京大田区の100世帯マンションでは、毎月2世帯が新たに漏水する程の状況なのですが、補修工事の費用が集まっていない状況です。
そこで、組合が入っている保険を補填していましたが、あまりに頻繁であったため、適正な利用でないことが発覚してしまい、保険金が出なくなってしまったのです。平成元年以前のマンションの場合、給排水管がコンクリートの床の中に内に埋め込まれていることがあり、床を一度壊して工事をする必要があり、補修完了後は床を又復旧する事になり、工事費が大きくなります。
しかも修繕前に室内をリフォームしていた場合は、大金をかけたリフォームが無駄になるため、反対する人が出る事になります。
築35年、1000世帯を越すあるマンションで大規模修繕を前に住民アンケートを実施しました。リフォームの有無に加え、その時、給排水管交換についても尋ねたところ、交換したという世帯はありませんでした。
リフォーム時に給排水管の交換をするように義務付けておけば多少なりともマンションの延命が出来ますが、リフォーム業者の多くは、給排水管は面倒臭く、手を付けたがらないのです。
所有者も交換の重要性を知らないものから当然補修を頼む事はなく、その状況が続くと、ある日、給排水管の事故が発生してしまうのです。
静岡県にある築38年のマンションです。エレベーターは停止状態、外壁の一部はコンクリートの鉄筋がむき出し、各部屋のドアは錆をおびています。受水槽や汚水桝は悪臭を放っていました。
2016年マンションの臨時総会で解任した元管理者と称した男Aに対し、約20年間分の使途不明の管理費6600万円余と、Aが所有していた3室の未払い管理費480万円などの支払いを求める裁判で係争中です。
竣工当初、分譲会社が管理に当たっていましたが、翌年に同社が倒産。区分所有者が自主管理を行うことになり、管理者となったのがAでした。
Aは、清掃や日常業務を行う前管理人が病気で退職した後、区分所有者から委任状を取り付けて「管理者」となり、月額12万円を「管理者」報酬として要求。
管理者であるから管理人としての仕事はせず、日常の清掃は区分所有者2人を勝手に管理者補助に指名して行わせていたのです。しかも徴収した月額約32万円の管理費のうち、共用部の電気代約4万円を除いてはほぼすべてAが着服していたようで、大規模修繕はおろか、消防設備点検や受水槽の清掃、エレベーターの日常定期点検なども一度も行われていなかった。
管理組合の総会も分譲会社倒産後に1回だけ開かれたようだが、その後は一度も開かれていない。そこで一部の区分所有者がマンション管理士に相談。その時点では管理組合の口座残高は10万円を切る状態で、しばらくは共用部廊下の電気代にも事欠くほどでした。
その後、相談に乗ってくれた管理士に、区分所有法に基づいて管理者に選任され、この2年間、マンション再生に奔走。300万円以上の未納管理費を回収したほか、汚水桝の修繕や鉄部塗装などが行われたことで、状態は改善。賃貸に出された部屋には数人が入居。
それでも全50戸のうち、20戸以上は空室。エレベーターはいまだ止まったままである。中にはゴミ屋敷のままで放置されている住戸もあり、それが何戸あるかは把握できていない。Aが悪いのはもちろんですが、管理に無関心のまま、Aにすべてを丸投げしてきた無関心の区分所有者にも責任があります。

危険な換気ー2

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危険な室内環境
住宅内の温熱環境を整えるニーズが高まっています。これまでにないような猛暑が続いたり、室温と健康との関係が社会的に話題になったりして、消費者が住宅内の温熱環境を重要な品質だと捉える機運が高まっています。
しかし、高断熱高気密住宅は本当に良いのでしょうか。
昔から日本人は欧米の生活にあこがれて来ました。真冬でも家の中では半袖のティーシャツ。それは石油の輸出国であり、安いエネルギーを使いたい放題で、家の中は思いっきり暖かいのです。ですから吹き抜けであろうと問題はありません。
しかも大陸の乾燥な気候に慣れていますから、乾燥には強いのです。そして、大自然の驚異から人間を守るとの意識がありますが、対して日本人は温暖な気候により、自然に寄り添う姿勢があるのです。欧米の住宅は自然とは隔離しますが、日本は融和を好みます。しかも高温多湿な環境で暮らしてきた日本人は、元々乾燥に弱い傾向があります。
高気密住宅は、機械による換気で、湿気を建物から追い出すことになり建物内に湿気がたまりにくいというメリットはあるのですが、湿気がなくなりすぎて乾燥しすぎるという現象が起こります。特に冬場は、肌荒れをしたり、アトピーや風邪を引きやすくなりがちです。
そこに清掃が出来ない換気ダクト内のほこりや雑菌が家の中を駆け回ります。
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地盤沈下ー2


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怖い水浸沈下地震後の沈下
昔から,宅地盛土の水浸沈下による住宅被害の事例が数多く報告されています。
現在、盛土の宅地においては、整地を行い、その上を土を突き固める転圧を行っています。
その締め固め不足の土砂には空隙が多く、土粒子間の接点に存在する水の表面張力によって、かろうじて自立が保たれている状態なのです。
そこに大雨による豪雨が発生し、大量の雨水が侵入すると、土砂の空隙に水が浸入し、飽和状態に陥り、そのバランスが保てなくなり、沈下が生じることになるのです。
一方,十分締固められた盛土では,沈下は起きないのです。降雨後に埋土が沈むなど水締め効果的な要因が多いことから「水浸沈下」ともいわれています。
地盤の盛土の土地に住宅を建設する場合は、地盤調査として、一般的にスウェーデン式サウンディング試験を行います。それを元に地盤の補強を行うかどうかを判断します。
しかしこのスウェーデン式サウンディング試験だけでは変形に対する評価が難しく,宅盤の品質を保証 しているとは言い難いのです。
2018年9月の北海道地震から半年以上が過ぎた頃、不同沈下などの被害が出た宅地で、液状化が原因だったと新たに分かるケースが出てきています。
1978年に三井不動産が傾斜地を切り盛りして平らに造成し、分譲した宅地で、新たに液状化などの原因が判明しています。東側には札幌市内で液状化被害が集中した清田区との境となる吉田川が流れ、南側は吉田川公園に隣接。地震後、切り土と盛り土の境界付近がたわむように、最大で30cmほど沈下したのです。
札幌市は宅地内を通る道路12カ所と吉田川公園内でボーリング調査を実施。地下水位や土質調査の結果から国土交通省の基準に従って液状化判定を行ったところ、宅地内の道路の1カ所を「液状化危険度が高い」と分類しました。
この後、住民説明会で、「地下水位が高い場所は液状化、低い場所は切り土と盛り土の境界における地盤強度の違いが主な原因」と説明しました。
切り土と盛り土の境界は、造成する際に埋設した暗きょのほぼ真上に位置しています。そのため、暗きょ内部への土の吸い出しで地中に空洞が形成され、それが地震で潰れて地盤沈下を引き起こした可能性を指摘する専門家もいるのです。



危険な宅地販売不同沈下裁判
2018年9月の北海道胆振東部地震で、大規模な液状化現象が発生した札幌市清田区里塚地区の古い造成地に隣接する地域での問題です。
2004年に大手住宅会社が建築条件付きで販売された住宅地には、築12年以上経過した軽量鉄骨造の住宅が立ち並んでいます。
がしかし、大きな地震によって地割れが発生しました。その影響で、地盤が数㎝沈下し、基礎の内側にクラックが見つかったという報告があり、3住戸で半壊以上、2住戸で一部損壊、3住戸で一部損壊未満の沈下被害が発生しました。
この地区は、過去に水路や沢があり、その後複数回にわたって盛り土された土地だったのです。
実は、販売時に住宅会社は切り土と説明したのでした。ところが、地震後に市が配布した資料により、実際は盛り土だった事が判明したのです。
『地盤補強の必要がない切り土』『岩盤のように固い地盤』という営業マンの説明と、会社が大手であることを信じて土地を購入した人が多いのです。
2019年6月、住民たちは販売会社に質問を預けた所、沈下修正費用の負担などの要求には応じない模様です。
問題は、販売時に重要説明義務を偽っていたことです。
1993年11月、建築主Aは請負業者Bと建築請負契約をし、1994年3月、引き渡しを完了しました。
1998年10月、Aは浴室の 排水パイプの継ぎ目が折れ、浴室下に空洞が できているのを発見し補修していたと ころ、基礎のひび割れを発見し、建物が 不同沈下している事がわかったのです。
Aは、Bが地盤対策を行うこと なく建築工事を進めたのは、不法行為に基づく損害賠償として福岡の裁判所に提訴。一審では、不法行為に基づく損害賠 償金として、補修工事費用948万円余及び調 査費用60万円余の合計1,008万円余と、建物完成から5年間の遅 延損害金を認めました。
しかし双方とも不服と して福岡高裁に提訴。そして、高裁の下した判断は、不同沈下による損害は、過失相殺を適用し、遅 延損害金の起算日については、建物の不同沈 下による損害が発生した1998年4月1日と して、一審の判決を一部変更したのです。
理由としては、敷地の一部に極軟弱地 盤が存在していたのは海岸近くの丘陵地の開発地ゆえに、どこでも見られることである から、地盤調査をしなかったのは義 務違反があるとしました。
しかし1999年に成立した「住宅 の品質確保の促進等に関する法律」施行 後は、住宅でも地盤調査を行うこ とが一般的ではあるものの、設計が行われた1993年当時、多くは設計者の経験と勘に頼って いた実情でしたので、敷地の北側には地山があったことや、敷地及び付近の外観などから、Bが現地を見て地山と判断したことも根拠のない判断ではないとしました。
又、建物の不同沈下に与えた影響は、建物の荷重よりもAが後に行った庭の盛土等の荷重の方が大きく、約2.5倍である事。
それらにより福岡高等裁判所は、建物の損害は、弁護士費用を除く全損害額から4割を過失相殺し、遅延損害金の起算日については、客観的に同損害が発生したときに遅滞に陥るというべきであるとしました。



工事による地盤沈下裁判
道路工事業者が道路の拡張工事を行った際、道路に隣接した住民が自分の土地の地盤沈下及び土地上の建物が損傷を被ったと主張して工事業者に損害賠償を求めて訴訟を起こしました。
工事業者は、行政の事前調査結果及び事後調査結果から本件土地については地盤沈下がないことを主張。
この土地が軟弱地盤であることや建物が老朽化していることが地盤沈下の主な原因であり、工事施工時点で工事業者が知りうる立場にないことから、工事業者に過失はないことを主張しました。
一審の判決は、土地の地盤沈下を認めるとともに行政及び工事業者の過失を認め、住民の損害賠償請求を一部認める事になりました。この一審判決に対して工事業者と行政は控訴をしました。
最高裁の控訴審においては現状の地盤や建物の状況を確認するため、さらに詳しく測量調査が行われました。
そして工事、行政側は、測量調査の結果から地盤沈下とは言えないことや過失がないことを再度主張。結果、最高裁の判断は、地盤沈下が生じたことを否定するとともに、請負業者及び行政の過失責任がないことを認め、一審判決で認めた損害賠償を取り消しました。この裁判は、一審の訴訟提起から控訴審で終了するまでに5年以上もの時間がかかったのです。
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